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エピローグ

衝撃の断罪劇から数日……


ヒロインであるシルビアは宣言通り翌日にはこの国を立ったらしい。

その際に騒ぎを起こしたとして子爵から除籍もされたが、親としての最後の温情だと暫くは困ることがない程の金を持って平民として旅立ったらしいが「平民だろうと私の可愛ささえあれば玉の輿にのれるんだから!!」と息巻いて出て行ったと言うんだからその根性だけは感服する。


そして、なぜルーファスがアバンの事を知っていたのかというと……アバンはいつの間にかルーファスに買収されていて、リリーの行動を逐一ルーファスの耳に入れていたと聞かされた時にはしばらくアバンと口を聞かなかった。

アバン曰く「だって、あの人逆らうと怖いもん」だと。

まあ、そこは否定しない。


元悪役令嬢のジルだが、こちらはしばらくローベルトをほったからして他の男アバンの元へ通っていたという事がバレ、ここ数日姿を見ていない。

ローベルトにそれとなく聞いたが「安心して。元気にしてるよ。今お仕置き中だから」といい笑顔で言われ、それ以上聞くことが出来なかった。


リリーに公開求婚した団長であるウォルターは、あれ以降ルーファスに敵認識されリリーと二人きりになることを禁じられた。

「本当余裕ねぇな」なんてぼやいているがその顔は嬉しそうだった。


で、当のリリーとルーファスだが……






「ルーファス様!!いい加減にしてくださいまし!!」

「何故です?愛しい婚約者殿?」

「──~~~~~ッッ!!!!」


今リリーはルーファスの膝の上にいる。

恥ずかしさで顔を真っ赤にさせているので隠すべく両手で顔を覆ている。


あれからルーファスはリリーに冷たい態度を取ることをやめ、激甘婚約者に変貌を遂げた。

それは周りの人間を困惑させ、時には引かせることもある程に……


「おいおい、人ってあんなに変われるものか?」

「いや、あれは今までの反動じゃないのかい?」


いつものようにウォルターとローベルトがルーファスの執務室を訪れ、目の前の光景を呆れるようにして見ていた。


「お二人ともそんな悠長なこと言っていないで助けてください!!」

「いや~俺、お前に触れるの禁止されてるし?」

「僕もルーファスを敵に回したくないからね。ごめんね?」


二人がいるにも関わらず、ルーファスはリリーを離そうとしない。


「リリーは本当にいい匂いがしますね……ああ、食べてしまいたい……」

「ひゃぁぁ!!!」


リリーの首元をペロと舐められ変な声が出た。


今まで自分の不幸な結婚生活回避の為に婚約破棄を望んでいたが、今は違う。

異様な執着と耐えがたい程の愛情から逃れたい。


「おや?またなにやらよからぬ事を考えてますか?……残念ですが、今更逃がしませんよ?」


そう微笑むルーファスは憎らしい程美しかった。


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