横たわる聖人の身体を支え、手を取りゆっくり引き起こす
「……喉の方はどうですか?」
「少し苦しいですが、少し時間が経てば問題はないと思います」
「それを聞いて安心しました。にしても、私の側付きがした事とはいえ、大変申し訳ありませんでした」
「いえ、元はといえば私が戒律を破り、この場で修練をしていたことが原因。貴方に少しの落ち度もありません。どうか頭をお上げて下さい」
深々と頭を下げる
「ありがとうございます。そう言って頂けると、
「
「恋路? ――いっ、いえ、私と
「そうなんですか? 貴方を必死に守る姿が、もしかしたらと思ったもので」
口ごもり顔を赤らめた様子の
「それより、私の勘違いかも知れませんが。以前どこかでお会いした事がありませんか?」
「以前ですか? そうですねぇ。お会いしたかと聞かれれば、
見覚えのある姿だと思えるのだが、
「確かにどこかで会った気がするのですが……。とりあえず、怪我がなくて本当に良かったです」
「怪我……ですか?」
「ええ、
「信頼……なるほど、それは良かった」
「良かった……?」
「はい。油断していたとはいえ、私を屈服させた力は本物。そればかりか、優しき心まで兼ね備えている。さぞかし、将来が楽しみと思いまして」
「そうですね。さっきの力は余り見ることはありませんが、優秀であることは保証します。今は
「なるほど、是非とも私の部隊に欲しい逸材ですね。もしその時がくれば、直々にお迎えに上がらせて頂きます」
「部隊? お迎え? もしかして、貴方は…………」
「おや? もうそんな時間なんですね。では私には任務がありますので、これにて失礼したいと思います」
音を聞き取り、響きの打数を感じ得る僧侶。自らに課せられた僧職を思い出し、ゆっくりとその場を離れ何処かへ向かっていった…………。