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【24】森の中の湖

 森狼の魔石を回収したあと、わたしたちは森の中を比較的ゆっくりとした速度で進んで行った。

 すると開けた場所に出た。


「……これ、湖?」


 思わず感嘆する。

 まさかこの森の奥にこんなにも大きな湖があるとは思わなかった。


「一度休息をとる。歩き通しだと効率が悪くなるからな」

「そう? それじゃあお言葉に甘えようかしらね」


 助かった……。

 生まれてこの方、今日ほどひたすらに歩き続けたことはなかったので、足が棒になりかけている。一休みできるとしって内心ホッとした。


「それにしても、綺麗な湖ね……」


 魔物が巣食う森の中とは思えない。

 水も澄んでいる。底が見えそうなぐらいに……。


「引け」

「ひゃっ」


 水面に顔を近づけると、ロックに肩を掴まれて後ろに引っ張られた。

 何をするのかと抗議しようと思ったら、次の瞬間、湖の中から何かが勢いよく飛び出した。


 ロックは、その何かを剣で一突きする。


「なにっ? それなに!?」

「気を付けろ。水の中にも魔物は潜んでいる」


 剣に刺さった魔物は、魚の形をしている。既に息絶えているのか、ピクリとも動かない。


「き、肝に銘じておくわ……」


 もし、ロックが引っ張ってくれなかったら、今頃わたしの顔がなくなっていたかもしれない。そう思うとゾッとする。


「丁度いい。昼飯はこいつにするか」

「……え? 今なんて言ったの?」

「飯を食うって言ったんだ」

「そうじゃなくて、その魔物を食べるって言わなかった……?」


 まさか、冗談だよね、とわたしは目を向ける。

 しかしロックは意地悪そうに口角を上げて言葉を返す。


「冒険者になりたいんだろ?」


 だから食べろ、と。


 わたしは確信した。

 この男、絶対いじめっ子タイプだよ……。

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