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【3】叔父からのお手紙

 わたしの名前はメル。メロール家の一人娘だ。


 わたしは、両親や叔父、他にも沢山の人に甘やかされて育った。

 それは生まれたときからずっとだ。


 その原因は、彼らがわたしの持つスキル――『溺愛』の影響下にあったから。


 目が合うだけ。

 ただそれだけのことで、その人はわたしを『溺愛』したくなる。抗うことなく溺愛するようになってしまう。


 幼いながらに不思議に思ったわたしは、誰にも言わずに様々な実験を重ねた。調べ物の数も毎日増えていった。


 その結果、『溺愛』自体を特定することはできなかったけど、二つのことが判明した。


 一つ。この力には、効果範囲がない。

 そしてもう一つ。この力の効果時間は、わたしの年齢に比例する。


 たとえばの話をしよう。

 東のオークリスタ公国に住む叔父は、用事を作っては度々メロール邸に遊びに来ていた。

 これもわたしの『溺愛』の影響下にあることは間違いない。


 そしてわたしは、叔父で実験することにした。


 毎日欠かすことなく、わたし宛ての手紙を書いて送って欲しい。

 わたしは叔父におねだりをすると、『溺愛』の影響下にある叔父は、二つ返事で了承してくれた。


 すると、叔父からの手紙は八通目で突然途切れてしまった。

 それはわたしが八歳のときのことだった。


 それから五年の月日が流れる。

 効果時間は八日間だと思い込んでいたが、ズレが生じたことにわたしは気が付いた。


 だからもう一度、叔父からの手紙で実験をしてみた。すると今度は、十三通で手紙が途切れることになった。


 そう、そのときわたしは十三歳になっていた。


 わたしは、叔父と手紙を実験台にすることで、自分が持つ不思議な力――つまりは何らかのスキルの効果範囲と効果時間を実証することができた。


 但し、このときのわたしは、まだそれが『溺愛』であることを知らなかった。

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