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【15話】あの、いきなりゴブリン狩り……ですか?

「じゃあとりあえず、魔力ポーションを買いに行こうよ」

「そうですね。……あ、それとあと、何か簡単なクエストを受けてみませんか?」

「クエストを?」

「はい、わたしたち二人の、最初のクエストになりますから、まずは確実にクリア出来そうなものを選んで……」


 ギルドのロビーに設置されたクエスト掲示板には、数多の張り紙がされている。内容は違えども、そのほとんどが冒険者に向けたクエストだ。

 その中から、自分の力量にあったものを選び出し、受注する。

 引き受けたクエストを無事に終え、ギルドに報告することで、クエストクリアとなり、その内容に見合ったクリア報酬を受け取ることが出来る。

 このように、クエストをクリアして報酬を手にすることで、冒険者業は成り立っているのだ。


 ノアは、手始めに簡単なクエストを引き受けようと提案した。

 魔物討伐の他にも、ノアが受注していたような清掃クエストだったり探し物を見つけたり、荷物運びなど、腕に自信が無くともクリア出来るものは山ほどある。だが、


「僕たち二人の、初めてのクエストか……! いいね、受けよう!」


 目を輝かせ、ロイルはソファから立ち上がる。

 つられてノアも腰を上げ、二人は談話室を後にした。


     ※


「これがいいな!」

「はい! ……え?」


 掲示板の前へと移った二人は、貼り出されたクエストの内容を一通り目にする。そして、ロイルが剥がしたのは、魔物討伐のクエスト依頼書だ。


「ゴブリン討伐……あの、いきなりすぎませんか?」


 依頼書には、場所や討伐数が書かれていない。つまりどこで討伐しても構わず、複数体は勿論のこと、一体だけでもクエストクリアとなる。ボドたちが狩っていたポイズンマウスのクエストのようなものだ。

 しかしだからといって、一体のみの討伐で済む話ではない。


 王都南部に位置する森林地帯には、数多のゴブリンが巣食っている。単体での戦闘力は差ほどではないが、群れで行動する種族である為、討伐難易度は高い。油断をすれば、見るも無残な姿にされてしまうだろう。


「大丈夫。ノアと僕なら、きっとクリア出来るさ」

「……ううっ、分かりました。やってみましょう」


 ロイルが大丈夫だと言うと、本当にクリア出来るような気がしてくる。

 実際、ノアはスキルを使用出来るようになったので、呪文を唱える際の隙をロイルが埋めてくれるのであれば、二人だけでもゴブリンの群れを相手にすることも不可能ではない。


「でも……ちゃんと装備を買ってください。じゃないと絶対に反対です」

「このままでもいいのに」

「よくありません! 武器も防具も無いじゃないですかっ」

「はいはい、ノアの言うとおりにするよ」


 肩を竦めてロイルが笑う。

 通常のクエストであれば、受注の証となる数字の書かれた指輪をギルド職員から受け取る必要があるが、この手のクエストではその必要もない。


「じゃあ、魔力ポーションと装備を整えたら出発だ」

「はいっ!」


 クエスト依頼書を手に、二人はギルドの外へと出る。

 二人の初クエストが、幕を開く。

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