教室には異様な光景が広がっていた。机や椅子は乱雑に倒れていて、ノートや教科書、文房具も床に散乱している。
時計の針は放課後になる前の時刻を指している。普通ならまだホームルーム中であり、机や椅子が倒れたままなのは普通ではない。今すぐ元通りにするのが正常であるべきだ。
しかしそれを為そうとする生徒はいない。担任の教師ですらやろうとしない。誰も動くことが出来ないでいた。
「あ…ああ……っ」
教室の中心にはクラスカースト上位の男子生徒(髪は金髪、地毛だ)が、床にへたり込んでいた。彼の目と鼻からは液体が流れ出ていて全身を震わてもいる。そんな彼の隣には同じカースト上位の男子生徒が数人、同じようにへたり込んでいた。。
「ひ、ぃいい………」
教室の中心には他にも女子生徒が一人いる。彼女はその容姿の良さ故にクラスで一番の人気を誇っている。そんな彼女の整った顔は恐怖ですっかり歪んでしまっている。
「あ……がが、ぅぐ……」
黒板にはクラス担任の教師が真っ青な顔で背中を黒板にへばりつけている。本来であれば主だって注意して机や椅子を片付けさせて生徒たちを着席させなければならない。しかし今はその行動に移ることは出来ないでいた。
「ふぅ………どこからだったかな」
その異様な光景をつくりだした発起人である一人の男子中学生は、言葉に表せないようなプレッシャー・オーラを絶え間なく発生し続けながら軽い調子で口を開く。教室にいる生徒・教師全てにゴミを見るような目を向ける。
「まぁいいや。じゃあ本格的に始めようか、
これまでの仕返し……復讐を!」
男子中学生……この物語の主人公でもある少年は、残虐性を孕んだ笑みを浮かべてそう告げた―――
第一部に登場する人物
(現実世界パート)
主人公:
*通称シュート。本編では「シュート」と表記。
中学二年生(13才) 知り合いからはシュートと呼ばれる。帰宅部。虐められる前は正義感にあふれる少年だった。虐めから助けた男子生徒にまで虐められるようになってから正義感は冷めて無くなり、世の中の人間はクズばっかりだと考えるようになる。
やがて正義とは弱く困っている人を助けるではなく、自分がクズだと思う人間を排除するということだ…と考えを変えるようになる。
自宅の地下室に突如現れた黒い渦に入ることで異世界へ行き来出来るようになる。
力を手にしたことで、自分の思う正義を貫くことを強行するようになる
家は両親が共働きで空けることがほとんどで、シュート一人の時間が多い。
見た目:虐められる前は整髪された短髪で凛々しい目。身長163㎝
虐められるようになってからは寝ぐせがついたままの髪、荒んだ目つきになる。
異世界へ行き来するようになってからは身長が175㎝に伸び、細身だが筋肉質の体へと成長する。髪は整ったメンズマッシュヘアとなり、目は鷹の眼を思わせる鋭さをもつようになる。
シュートのクラスの委員長。男口調で喋ることが多い。虐められる前のシュートと同じ正義感ある性格。
不良グループのリーダー中里の父親と彼女の父親が上司と部下の関係にあることを理由に、それを利用する中里によって圧力(=脅し)をかけられていることから、中里だけには強く出られないでいる。シュートが虐められていても中里を完全に止めることが出来ない。虐められる前のシュートとはよく話す間柄だった。
空手を習っており、護身術に長けている。趣味は少女漫画を読むこと、ペット(猫)と遊ぶこと。
見た目:肩に届くくらいの黒髪を二つ結びにしている。真面目であることから制服はきちんと着こなしている。身長158㎝、バストは年相応。
サッカー部所属。シュートのクラスではカーストトップに位置する成績優秀な男子生徒だが、その裏は学校内の不良グループのリーダーでもある。父親が国内トップクラスの大企業の会長であり、七光り息子。(紅実の親がその会長が取り仕切っている会社に勤めている。)
気に入らない奴をいじめるのを悦とする性格だがその本性は教師たちには上手いこと隠して、大人たちには優秀な生徒の面だけを見せている。
以前別の男子生徒を虐めていたところ、シュートにそれを止められたことが気に障り、以降標的をシュートに変えて、彼を新たに虐めるようになる。
見た目:地毛が金髪 身長170㎝
野球部所属。不良グループにも入っており中里とは親しい関係だがお金を目的に近づいただけである。中里にならってシュートへの虐めに加担している。
見た目:ボウズ頭 体重が70キロ近くあるややデブ体型
野球部所属。谷本の腰巾着のような存在だがそれを笠に着て生徒たちの前では不良態度を振舞う。谷本と同じようにシュートへの虐めに加担している。
見た目:ボウズ頭 身長149㎝のチビ
帰宅部。シュートや花宮、中里と同じクラスでかつて中里や谷本といった不良グループに虐められていた。シュートに助けてもらったことで標的がシュートに変わって虐めから解放されたが、中里の命令で不良たちと一緒にシュートの虐めに加担させられる。はじめは仕方なしにという感じだったが、次第に面白がってシュートを虐めるようになる。
見た目:虐められている間は黒眼鏡をかけていたが、中里の仲間になってからはコンタクトに変えて、髪をワックスで固めるようになり服装も不良生徒たちに合わせるようになる。
シュートのクラスでも学年でもカーストトップに君臨、クラス・学年ともに人気ナンバーワンを誇る女子生徒。学校の外では読モにスカウトされたことがあり外でも顔が広い。美少女と呼んでもおかしくない外見で教師たちの評価も高いが中里と同じく本性を隠しており、人を見下す性格をしている。
中里の提案に乗っかり、シュートを嘘の告白で騙してその一部始終を学校内の生徒たちに晒して笑い者にする。
見た目:地毛にやや茶色が混じった黒のウェーブヘア。身長161㎝ バストC~Dカップ スカートが短く学校規定外の制服を着ているが特に直されていない。紅実がそれを注意しているが無視している。