私は、静かにゲンシンさんに渡した鉄人との接続を切りました。
これで、ゲンシンさん達の様子は分らなくなります。
あっと、魔力の接続は切ってはいけません。
魔力切れになったら鉄人達が動けなくなりますからね。
私達から、港の灯りは見えなくなりました。
それは、向こうからも見えなくなったと言う事です。
港はパニックで追っ手が来る様子もありません。
これで、もう追っ手はかからないはずです。やっと一安心です。
この先に、山に囲まれた平地があります。
近くに道も無く、陸の孤島です。
川の流れもあって、暮らしやすそうな場所。
運良く海鳥ゴーレムで探し出せました。
私は、色々見た中でここが一番気に入りました。
なぜなら、おっとうとおっかあと、一緒に暮らした故郷によく似ているから……。
「皆はしばらくここに居てください。私は下で準備をしますので」
「はい!」
「くーくー」
「すーすー」
ロリッ子達は、空で鉄人の抱っこのまま待機です。
大きい子達は返事をして、小さい子は眠っているようです。
下は、木々に覆われた深い森です。
猛獣がいるかもしれませんので、お空の方が安全です。
まずは、樽を持った鉄人の樽を地面に降ろします。
そして、鉄人達には木を伐採させます。
巨大な木が大きな音を立てて次々倒れていきます。
私のゴーレム魔法は、生きているものには使用できません。
倒れたばかりの木は残念ですがゴーレムには出来ないのです。
船から造り出した木人ゴーレムに倒れた木や、雑草を取り除いてもらいます。
夜が明ける頃には、平地が顔を出していました。
木人ゴーレムの形状を板状に変化させ、組み合わせて簡単な家を作りました。
とりあえずは、ここで簡単な朝食にしましょう。
昨日、ここに来る時に街の民家からぬすん……コホン余り物を処分するため運んだパンとお肉があります。
「みんなー、食事ですよーー!!」
空の鉄人達を地上に降ろし、子供達を家に招き入れます。
手が空いた鉄人は、すぐさま伐採に参加してもらいます。
「わああーーっ!!」
皆から歓声が上がりました。
ふふ、美味しそうですね。
みんな、夢中で食べ始めました。
可愛いです。
「みなさん、食事が終わったら、心配しないでゆっくり休んでください」
食事を済ませて私は外に出ました。
作業は鉄人と木人に任せていますが、監督ぐらいはしないと。
「ふふっ」
私が外に出たら、子供達が外に出てきて私のまわりに集っています。
鉄人と木人の作業をしばらく皆で見守りました。