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第28話

「東和は認められたい人はいるか?」


 東和と一緒に赤井(ポルックス)は、今度は居酒屋ではなくレストランに来ていた。ファミレスという名のそこは安い値段で食事がとれる。まだ給料が出ていない。レイブンに少しだけお金をもらった。


「認められたい人か。父かな」


「父。いた事がないから分からない。レイに、認められたい。おれはまだ信頼すらされてない」


 探らないといけない相手に相談するなんて、どうかしている。ポルックスは自分で自分が分からなくなっていた。


「信頼は相手を深く知る必要がある。

 だから、俺に話してよ。大丈夫。俺は味方だから」


 何故だろうか。頭がくらくらする。この人に全てを委ねたい気持ちになってきた。甘い匂いがする。レイブンの言葉が頭の中に聞こえてきた。


目に見えるもの、聞いたものを、全て信じたらそこで負け。分かったか。お前は人を信じ過ぎる。


「ちっ」


舌打ちが聞こえて、意識が浮上した。東和が舌打ちをしたようで、怒らせた原因はなんだろう。


「どうした」


「なかなか、手強いねぇ」


「手強い?」


「ごめんごめん。こっちの話。気にしないで。

 レイはどんな人。会ったとき、怖そうだったから」


何故、レイの事ばかりを気にする。こちらから情報を得ようとしていると感じ、その場合のマニュアルとして完璧に覚えていることを、そのまま話した。




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