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第25話

 ポルックスは驚いて、飛び起きた。昨日の記憶は居酒屋という場所で途切れている。しゅわしゅわするビール。飲み物を飲んで。気絶した。おれはまた、レイブンに迷惑をかけた。そうでなければ、ベットに寝ているはずがない。ポルックスは部屋を出て直ぐに階段を降りた。


「目玉焼きはこのぐらいで、フライパンから出すのかね。焼かなさすぎでは」


「レイちゃん。これ以上焼いたら真っ黒焦げになる。やめなさい。十分ですから」


「皿に移せば良いのだな」


 朝食を作っているレイブンと誰か。レイブンと親しそうな所を見るに知り合いなのだろう。2人に向かってポルックスは挨拶をした。


「おは、おはようございます」


「おはよう。ポルックス。まったくおまえは。

 もう少し警戒をしなさい。ビールは飲むな。

 おまえにお酒は身体に合わない」


「申し訳ありませんでした。失態を」


「言わなかったのは、わたしだ。悪くわない。

 気を付けなさい。未知なものに手を付けるのは危険だ。何も調べ物せずにね。彼は紫水。わたしの友人だ」


「よろしく。ポルックスだから、ポルちゃん」


「紫水さん。おはようございます。よろしくお願いします」


 誰なんだ。ポルックスの中で今まで感じた事のない感情が生まれた。どうして、レイブンは何も話してくれない。おれが頼りないから。暗い感情が心を埋め尽くす。感情の名前をポルックスは、まだ知らない。

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