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第15話

 レイブンは1人、ガーネットが展示されている美術館の向かいのBARに来ていた。ポルックスは美術館の清掃員として潜り込んでもらっていた。


「久しぶり。レイちゃん」


 レイブンは昔1人で日本に来た頃に、BARの店主にスカウトされて働いていた。店主紫水は天才詐欺師である。スカウト=同じような匂いを感じたから。意気投合して、こちらで仕事をする時は働かせてもらっている。


「久しぶりなのだよ。紫水」


「浮かない顔だ。いつものでいいか」


「マティーニを頼むよ」


 まだ開店時間ではないので、カウンター席にレイブンは座りカウンターに突っ伏す。


「はい。マティーニ。何があった。仕事で来たんだろ」


「意志を持つガーネットを助け出し、あるべき場所に戻すために」


「ふーん。面白そうだから、盗む日は教えてください」


「別に教えても構わないのだよ。実は相棒が出来た。どうにもうまく話せない。仲良くなりたいとは思っているがね」


ガシャン。


 紫水が珍しくグラスを床に落とした。すぐに破片を拾い冷静な表情で言う。


「失礼。きみが相棒を作るなんて、少々いえかなり驚きました。実は数年前におれも相棒を作りました。最初はそんなものですよ。仲良くなりたいなら、コミュニケーションとプレゼントが効果的です」


「プレゼント?」


「感謝のプレゼント。好きなものとか食べ物」


レイブンはまったく見当もつかなかった。

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