「うーん。またずれた」
「臭い。なんですか、この場所は」
「おそらく公園の使われていない。公衆トイレだ。臭い場所や、熱い場所。寒い場所など極端な場所にばかり着いてしまうのか。永遠の謎だ」
臭い匂いで充満したトイレ誰も使わない。レイブンは思っていた。
「早く出ましょう」
ポルックスが出ようとしたのを彼の体を、抱き締めて止める。微かな足音を聞いたからだ。2人トイレの個室から出て来たら、怪しい関係かこの異国風の服装では通報されてしまう。
「はなっ、離してください」
「しっ、静かに。このまま2人で出たら怪しまれる。着替えもせねばならない。ホムンクルスも中々抱き心地が良いもの、ぐっ」
正確に急所をポルックスに蹴られて、レイブンは呻く。大声を出さなかった自分を褒めたい。
「恥ずかしがり屋だな。おまえは。行ったみたいだ。これに着替えろ。わたしは隣の個室で着替える」
「恥ずかしがり屋ではない。レイが変態なだけ。失礼な発言は謹んでください」
「分かった。分かった。顔が赤いが大丈夫かね」
「余計なお世話。気のせい。早く隣で着替えてください」
レイブンはトイレから閉め出され、鼻を摘んでから深く息を吸い吐いた。
「嫌われているな。わたしはこんなに愛しているのに。難しいな他人と話すのは」
隣の個室に入るでもなく、魔法を使い着替えて外で、ポルックスをレイブンは待った。