「団長。見た目がかっこいい人。多過ぎじゃないですか。目の保養」
ギルドの掲示板を見に来ていた騎士団の2人は、パーティーにやって来た。騎士団の制服である騎士服ではないフォーマル服に身を包んでいる。
「煩せぇな、ギーシュ」
「団長がテンション上がらなさすぎなんですよ」
「団長はやめろ。もし怪盗が会場にいたら、盗むのを辞めちまうかもしれないだろ」
「それもそうですね。ジン先輩」
ギーシュが顔の良い若い男給仕を1人呼んだ。
「あの聞いて良いですか」
「わたしで答えられることでしたら。お飲み物はいかがでしょうか?」
「貰ってから話を聞こうかな。赤ワイン。ジン先輩は」
「白」
「白ワインをよろしく」
赤ワイン、白ワインを持って来てもらってからギーシュが質問をした。
「聞きたいことは、この廃墟の病院で働いていた?」
「いえ。働いていませんよ。雇われバイトですよ。誰が好き好んで、こんな廃墟の病院で給仕するんですか。どうぞ、これですよ。これ」
給仕が渡してきた紙には、急募集。廃墟の病院にて給仕の仕事を学びませんか。経歴、身分は問いません。準備も入りません。来ていただければ、報酬を出します。
「胡散草ねぇ。これ」
「来て良かったですよ」
嬉しそうに来て良かったという彼に、ギーシュもジンも首を傾げる。ジンが聞いた。
「どうしてだ」
「だって、1ジグルですよ。ラッキーですよ。
これで借金返せます」
1ジグル。騎士団で働いている彼らの1ヶ月分の給料だった。