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第4話

「怪盗がどうして、掃除する。意味が分からない」


 ポルックスの言葉に、レイブンはまた笑う。今度は本当におかしい。面白いというように。


「そうだね。下準備さ。ダンスパーティーの。怪盗にも盗む前の準備は必要」


「どうして、ダンスパーティーなんですか。

 今回盗む宝石と関係があるのか」


「どうだろう。盗むものと、ここがどんな場所かは教えてあげるよ」


 廃墟の病院はたった1人の病弱な貴族令嬢のために建てられた。ベットから出る事も出来ず、咳をすれば血を吐くほど虚弱な体。彼女を医者も看護師も見守り、なんとか完治出来るように努力した。


「どうなった。死んだ」


「治療出来ずに死んだ。話しの腰をぽっきり折るのはやめなさい。ポルックス。貴族令嬢が唯一持っていた宝石インペリアルトパーズ。今回の獲物だ」


「インペリアルトパーズ?」


「宝石を知らないな。オレンジの地色。見る人によってはピンク色の宝石なんていう人もいれば、イエロー、ブラウンという人もいる。宝石はグラデーションが素晴らしい。彼女が持つに相応しい、希望の意味を持つ宝石」


「何処にある。今から探せばいい」


「分かっていないな。おまえは。今探しても何も出ないよ。全てを叶え、元に戻してあげないと。

怪盗は全てをハッピーエンドにするのが仕事だからね。さっさと掃除するよ」


 どうしてダンスパーティーをするかはレイブンは答えてくれなかった。ポルックスも答えてくれないなら深くは追求はしない。これ以上聞けるようなことはないので、掃除に集中することにした。


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