クラウディア大陸の首都。オリビエンス。冒険者ギルド、商業ギルド。様々な薬、魔法道具が全て揃い、魔法学園もある。獣人や、人間、魔族、精霊族、エルフ族に至るまでざまざまな種族が暮らしている。王命で首都の警備にある人間騎士団の団長室で副団長と団長が話をしていた。王族は王様はエルフ族。妻は精霊族。種族に括りはない。騎士団も人間、獣人、他の種族の騎士団もある。
「聞きましたか。怪盗レイブンが予告状を出したそうですよ。行きますよね。団長」
「どうして興奮しているんだ」
「都市伝説なんて言われているレイブンに会えるんですよ。どうして興奮しないの。楽しみだな。本当に実在したんですね」
「有名なのか」
「本当に知らないの。良いですがレイブンが現れたのは今から3ヶ月前の王城に、予告状が届けられました。眠れるホムンクルスと嘆きの宝石をいただきに参上する」
噂ならば前々からあった。嘆きの宝石。夜な夜な初代王妃の遺品。ブルーサファイアが保管されている宝物庫から女の泣き声が聞こえてくる。報告を受けて、まずは獣人騎士団長が宝物庫を訪れた。確かに女の啜り泣く声と何かを探している声は聞いたが、結局姿を見ることが出来なかった。夜な夜な泣き声は酷くなり、王家は遂に依頼を冒険者ギルドに出した。
「翌日。依頼掲示板の上に予告状が貼られたわけですよ」
「解決したのか」
「知りません。わたしは調査してませんから」
「時間を無駄にしたな。さっさと冒険者ギルドに事情を聞きに行くぞ」
「待ってくださいよ。団長」
2人が向かった冒険者ギルドもレイブンの噂で持ちきりだった。そんな中、1人だけ紫の瞳をした氷のように冷たい顔つきの男が掲示板を睨みつけていた。