対象 上方逸樹
「ふ~~食ったぁ...」
合計1万円相当の寿司を平らげて一息つく。日本食はここに戻って来てからはほぼコンプリートした。大トロよりも中トロの方が、中トロよりもサーモンが好きなタイプの俺はほとんど同じネタを食ってた。因みに場所は、廻らない高級寿司店。板前は俺の食いっぷりに啞然としてたが特に突っ込んではこなかった。こういう人間こそ生かしておくべきなんだ。面白がって人を傷つけて辱める奴・喫煙所外で喫煙するヤニカス・交通ルールとマナーをロクに守らない奴なんかは全員死ねば良い。
まぁ...そういう線引きは、復讐完遂後しっかり行うつもりだ。
今回珍しく外食しに来たのは、色々理由がある。一つはこういう寿司は現場で食うのが一番美味いからだ。出前も美味いのは美味いのだが、なんか足りない気がする。やっぱ寿司は握りたてが一番美味いね。
もう一つは......これから復讐しに行く奴が近くに住んでるってことで。そいつが帰る頃をここで待ってたってわけだ。待ってたから10000円以上分も食ってしまったが、金は無限にあるから構わない。
(そろそろ......帰ってる頃か)
店を出てそいつの自宅へと向かう。中村と小西と一緒になって俺の未来を潰したお前にはそれ相応の罰を与えてやるぞ............
*
「おい杉山、お前中村と小西に虐められてんだって?その理由が、お前相当クズなんやってー?」
「何言ってんのお前?クズはあいつらやろうが...!こっちは理不尽に虐めを受けてきてんねん。それなのに、誰も俺を味方する奴はいない...」
「そらそうやろ?そうやって人のことをクズって呼んでる時点でアウトやろー?まずはそういうところから治さなアカンとちゃうの?」
「いや、いやいや。違うだろ。俺を面白がって暴行するような奴らをクズと呼ばずして何て呼ぶんや、ええ?ふざけんなっ!!」
「うわぁ......ホンマにコイツ悪い奴やなぁ。いきなり怒鳴るとか。そうやって他人のこと悪く言ってるから虐めに遭うんやろーが、あーあ」
「お前まだ言う......(ざわざわ、ひそ...)...くっ!」
上方と口論した場所が悪かった。他の生徒がいる教室で、実際に人の悪口を言ってしまった俺が悪だと、周りはそう思ってしまうのは当然だった(それもそれでおかしいはずだが)。
そして後で気付いた......クラスで孤立させることが、上方の狙いだったってこと。
野球部の坊主頭野郎の奴は、中村たちと仲良くなりそこで俺のことを聞いて、運悪くも性格がゴミクソの奴は面白がって俺の虐めを見物してやがった。
「ははは!オモロっ!実際に人が虐められてるところ見るの初めてだけど、オモロいもんやな~~wwいいぞーもっとやれー!」
上方はクズだ。最低な趣味をしてやがる。人が虐げられてるところをただ面白がって見物するのが大好きな、最低下衆な傍観者だ。本当に反吐が出るくらいに最低だ。
高校では主にアイツが俺の醜態をネットにばら撒きやがった。代わりに自身は手を汚すのを防ぐべく暴行には加わらなかったのだが、いずれにしろ奴は虐めに加担したと言って良い。
高校での虐めの主犯格にお前も入ってる......絶対に赦さない、ぶち殺す...!!
*
「清水や井村らと同じように、自分も虐めの被害に遭ってみようかここで~!なぁ上方くーん?」
ドガッ「ごぇ...!?」
上方の自宅に侵入するなり、重力を操作して奴を床に叩きつけた。そのまま床に這いつくばらせた縛り付ける。訳が分からない様子のままでいる上方に、自分が今何故こういう目に遭ってるのかを分からせるべく頭に触れてあの時の出来事を思い出させてやる。
「あ.........まさか、杉山、友聖...!?本当に杉山がここに...!?」
「ああ。高校振りだなぁ。今ので分かってると思うが、お前に復讐しにきた。今度はお前が、あの時の俺の立場になる番だ...!」
そして数分間、あの時俺が受けた暴行と同じように上方を甚振り続けた。顔面・腹・背中・指先・腕・脚・頭に拳と蹴りを入れて、全身痣だらけにしてやった。
暴行を受けている間の上方は、ただ止めてといった言葉を吐くだけだった。まるで虐めを受けている弱者であるその様を、俺は面白がって見下していた。
「どうだ?これが俺が味わってきた痛みと屈辱だ。お前が嗤って見ていた俺は、3年間ずっとその苦痛を受けてきたわけ。俺もさっきのお前みたいに止めろって言ってきたのに、あいつらは止めることなく俺を虐げてきたっけ。そしてお前はそんな俺をずっと嘲笑ってきたんだ...!自分は安全で害が無い場所でゲラゲラ嗤ってくれたなぁ?」
「ご、ごめんなさい...!反省してます、赦して...!」
痣だらけになって歯もいくつか折れた無様な上方は、ひたすら恐怖していた。なんて小心者で、折れるのが早い貧弱野郎なんだ。こんな奴に嗤われてきたのかと思うと苛立ちが増してくる。
「あ~~~~ホンマ苛つくわっ!!お前みたいな最低クソ野郎なんかにずっっっと嗤われて虐げられてきたと思うとさぁ!!ホント何だったんだよお前さぁ!?俺を傷つける為に生まれてきたような人間か?だったら俺自身がこうやって処分しないといけないなぁ!!」
そう言って上方の手足に五寸釘を深く、深く突き刺す。情けない悲鳴を上げる上方にさらに暴力を振るう。今回はひたすら殴って蹴ってこいつを甚振ろう。こんな奴に魔術使うのすら億劫だ。俺自身の腕力で、コイツを地獄に落とそう!
さらに1時間以上は、上方を一人でリンチし続けた。意外に良いもんだった。こうやって力一杯暴力振るうことで、あの3年間のクソッタレな思い出が浄化されていく気がする。泣き叫ぶ上方の顔を見るとより一層実感できた。
「あ”っばがっごぇえ......もう、赦してっぐだざい...!!」
「いや赦す選択肢とかねーから。お前は死ぬまで俺に虐げられ続けるだけだっての」
ボキィ!「ぎゃああっ!!おっ、俺だけじゃなかったはずだ!杉山が虐められてたところを面白がってた奴は他にもいたはずだ!たしか......井原っ!そうだ井原和磨!!あいつも杉山のこと笑って見物していた!だから......そいつへの復讐で、もう赦して......」
「ああ憶えているさ......井原っていうクソ野郎のことも。言われずともアイツも殺しに行くぜぇ?といっても、アイツはせいぜい見物していただけ。虐めのところを撮影して色んなところに情報をばら撒いたお前の方がよっぽど罪は大きいから、お前はこのまま残酷に殺すけどなぁ!」
「そ、んなあああああ...!!」
「このまま殴り殺そうかって考えてたんだが、もう飽きたわ。後は適当に燃やして殺すことにするわー。お前相手に時間使うのが馬鹿らしく思えてきたわ。もう後は勝手に死ね」
上方と上方の部屋にオイルを雑に撒いて、適当に火をつける。
「まっ、待ってくれぇ!!助けて......解いて!死にたくない!頼む、頼むううう!!」
「知るか馬鹿、早よ死ねや」
「......!!俺たちは、クラスメイトだったろぉ!?虐めは悪かったって思ってるけど、殺すごど、ないやろうがああああああああ!!!」
ヤケになって怒声を上げた上方に、俺はこいつ何言ってんだ的な顔を向ける。
「お前......3年間クラス同じじゃなかったじゃん。お前が勝手にやってきて糞絡みしてきただけじゃん。つーかクラスメイトだろうが関係ねーって言ってんじゃん。復讐なんだし。じゃあさっさと燃えて消えろ」
そう吐き捨てて上方の家から出て行く。数秒後、上方の断末魔の叫びが中から聞こえてきて、思わず笑った。
「さぁ......学生時代の復讐対象はあと一人。アイツには特にエグい復讐方法で殺すとしよう...!楽しみだァ!!」