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10-3★

 壺に蓋をして、暴れる中林を閉じ込める。あーあー、暴れたりなんかしたら余計に塩が体に付いてしまうというのに...。壺を横倒しにして、軽く蹴って転がしてやった。中から中林の声にならない絶叫が聞こえてきてすごく笑えた。数分間転がしたところで、壺を割って、中身を出してやる。上半身塩だらけで憔悴しきってる無様な姿は滑稽だった。


 「杉山ァ......許さん!!お前みたいな狂った男は法で裁かれて、死刑にされろぉ!!

 誰かァ!!今すぐコイツを抑えろォ!!おいっ!誰か近くにいないのか!?早くこの狂人を何とかしてくれぇ!!!」


 中林は壺から出るなり俺に罵声を浴びせて、公園の近くにいるであろう誰かに助けを求める。今さら助けを呼んだか...遅くね?余裕なかったのかねぇ。まぁ叫んでも全然意味なんて無いんだけど。


 「あー必死に叫んでるところ悪いんだけど、どんなに頑張ってヘルプシャウトしても誰もお前に気付いてくれねーぞ?俺がそういう風に細工しておいたから」

 「は、あ...!?何言ってんだお前はぁ!!これだけ騒いでたら近所の住民か誰かくらいは気付く―――!?あ、あれ?そういえ、ば………なんで?」

 「おお、悪賢いお前なら気付いてくれると思ったぜ。そうおかしいよな?さっきか凄い音量で喚いてるのに、誰もここに近づいて来ねーもんな?つまりそういうこと。ここには誰も来ないし誰もお前の有様に気付かない。そうだなぁ...ここに人が来るとしたら、お前が俺に殺された後じゃないかなぁ?」

 「な......な、な...う、そだ...!あ、ああ...!!」


 咄嗟に俺の言葉を否定した中林だったが、この状況と俺の言った内容とを照らし合わせて辻褄が合ってることを認めはじめたな。ここでようやくこいつの絶望した顔が見えてきた。


 面白いなぁ...復讐対象がこうして絶望してくれるのはさぁ...!



 「な、なぁ...。俺は確かに中学では杉山には大変なことをやらかしてしまった...!最初は本山や谷里に誘われて軽い気持ちでやったことなんだ――」

 「出たよその“軽い気持ち”っていうフレーズ。お前らはどうしてその軽い気持ちとやらであんな風に人を理不尽に虐げたりするんだろうな...。こうして話してみれば、やっぱりお前こそが最低な悪人にしか思えないよなぁ。違うかい、ねぇ!?」


 俺に凄まれてすっかり萎縮した様子の中林は、辛うじて見苦しい言い訳を続ける。


 「あ...あの時の俺は、まだ物事の区別がつかずにいたガキだったから......人の痛みのことなんかロクに考えずに行動してしまって、それで―――」



 「 “ガキだったから”......僕たちは若かった、子どもだったからあんなことしてしまいましたー、って言いたいのか今度は?なぁ......言い訳するならもう少しマシなことを言えよ。さっきのにしろ今のにしろ、ソレっぽいことを都合よく言って、逃げようとしてるようにしか聞こえねーんだよアホカスが。

 それに当時13才のガキにでも分かることだよなぁ?


 “人が本気で嫌がることは止めましょう”、“むやみに傷つけるのは止めましょう”ってさぁ。小学校の道徳とかで習わなかったか?

 そういう当たり前のことをロクに守れないクズがさぁ、俺が悪人だ犯罪者だ狂人だとか抜かしてるのは何なんだろうな...?お前は自信もって言えるのか?自分は潔白だ、正義側だ、悪いことはしてきてませんって...」


 「う......あああ...!」

 「そろそろさぁ......自分がしてきたことについて真剣に何か言うことないわけぇ!?」


 グチャァ...!「――びぇああああああ”あ”あ”...!!ご、ごめんなさいいいいい!!俺は、悪人だ!寄ってたかって杉山を甚振って虐めたことは事実で、それはやってはいけないことで......悪いことでしたああああ!!俺が悪かったあああああ!!すみませんすみませんすみません...!!」



 両脚の脛を砕かれてまた絶叫を上げてから、中林は自分が悪だと自認して、今更虐めのことを謝罪してきた。赦す気なんてこれっぽっちも無いのに必死だねぇ...。



 「言ったよねぇ?生まれてきたこと後悔させてやるって...。これで終わりにするわけねーじゃん。あの3年間を上塗りするまで、お前は...俺に理不尽に虐げられて、もっと苦しむんだよ...!俺は、お前に復讐しに来たんだから...!」

 “痛覚過敏化”もっと痛がれぇ!!



 ドゴッ...!「ごえええええ!!いだ、あああ...!」



 「お前の痛覚を数倍強くした。こんな弱い蹴りでももの凄く痛いやろーなぁ。さて、今すぐ死ねると思うな?まだまだ満たされていないんだよ...。さぁ続けるぞ!!」

 「い”、やあ...!ごめんなさい赦して赦して赦して助けて助けて殺さないで見逃して―――」




 ――この後も、殴打・刃物・火炙り・重力・幻術・ウイルス等を以て、夜が深まっても中林に復讐し続けた。

 「殺さないで、赦して」といったセリフが、「殺してくれ」に変わっても、俺は止む事無く奴の全てを踏みにじり続けた...。





 朝日が昇り始めた頃、手が滑って首を刎ねてしまったところで終了した。非常に楽しかった。こいつは虐めの主犯格だったから、今まででいちばんスカッとした!

 太陽の光を全身に浴びながら、拠点へ帰って行った。



 学生時代の復讐 4人目完了。


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