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第2話

「話を逸らすな!心優しい彼女が謝れば許してくれると言っているんだ、素直に謝れば良いものを!」

「ですから証拠がないのに謝ることは出来ないと言っているでしょう?それに私はそちらの方をいじめた覚えはありませんし、こうして話すどころかまともにお会いしたこともありません。会ったこともない相手をどうやっていじめるというのですか?」

「どうせ取り巻きでも使ったのだろう。陰湿なくせして口だけは良く回るようだな!」


 それは関係ないと思いますよ。陰湿なことと口が回ることは結びつきません。ですが……そうですね。


「私の友人たちを取り巻きだなんて失礼なことを言わないで頂ける?私はあなたのように友人を取り巻きだなんて思いませんし、仮にそう思っていたとしても男爵令嬢のために時間を使うほど暇ではありません」

「なっ!この俺に対して失礼だぞ!」

「何が失礼なのですか?失礼と言うのなら証拠もなしに公衆の面前で婚約破棄を宣言するあなたの方だと思いますよ。この際ですから言いますけどあなたは、あなた達レモーネ家は私のこと何だと思っていらっしゃるので?私とレイモンド様は政略結婚です。双方の利を考えての婚約ですのに、一方的に嫌がらせを受けて私がいつまでも黙っていると本気で思っていたのですか?もしそうだとしたら……」


 レモーネ家は終わりですね、と言う。レモーネ公爵も公爵夫人も、レイモンド様も私がそんなに大人しい性格をしているとでも思っていたのですか?自分がされていることさえ話せないような、気弱な人間だと思っていたのかしらね。


 当然ですけどそんなことはありません。私は早い段階でお父様に相談し、いざとなったら抗議して頂けるよう準備はしていました。私が言わなくても気付かれていたでしょうね。


 自分で言うのも何ですが私は家族に溺愛されているんですよ。そんな家族が敵対する家に嫁ごうとしている私の状況を調べないわけがないのです。


「言わせておけば好き勝手言いやがって……!」

「あらあら、女性に手を上げようとするだなんて、それでも紳士ですか?……そろそろ本題に戻りましょう。婚約破棄の件は承知しました。ですが彼女をいじめていたことに関しては認めませんよ。───国王陛下、発言してもよろしいでしょうか」

「許す」


 私を冤罪で断罪しようとしたのですから相応の覚悟はしていますよね?特に男爵令嬢。レイモンド様は頭が弱くていらっしゃるから気付かなかったのかもしれませんけど、そこのご令嬢は相当計算高いと思いましてよ。なにせありもしないことで訴えて、私の地位と名誉を地に突き落とそうとしたのですからね。


 国王陛下のお言葉に頭を下げ、私はこう続けます。

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