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第3話 僕の望む美の形

 それから、僕は強姦未遂を起こした事実を大学側にも知られ、大学からは退学を勧告された。僕の両親は保身のため、茜の両親を多額の示談で丸め込み、事件にはならなかったが厳格な両親からは勘当され、僕は家を出て、両親から資金援助だけは受けながら一人暮らしをする事となった。


『最後の最後まで……あんたはどれだけ私たち両親を辱めれば気が済むの!?』

『今までお前の様な屑を育ててきたと思うと、気分が悪くなってくる。お前はもう、この家の息子ではない、二度と顔を見せるな!』


 これが両親の最後の言葉だった。一方的に罵詈雑言を投げつけられ、僕は家を追い出された。


 幼い頃から両親の期待には添えず、怒鳴られてばかりだった。外見も中身も悪い失敗作だと毎日のように責められた。

 特に母には日常的に暴行を受け、僕の中の女性に対する歪んだ感性は母により形成されたとも言える。


 だから、茜のような純潔な聖処女が、僕にとっては神にも等しい存在になり得るのだ。


 茜が僕を否定した事で、僕は大学も退学になり、両親からも勘当された。けれど、不思議と茜に対する怒りは無い。

 そんな事は大した問題ではないのだ。


 寧ろ、こうなって良かった。

 なぜなら、これで僕は生活の全てを、誰にも干渉されることなく茜へと捧げられると思ったからだ。両親の目も無く、僕と茜だけの住処も得られ、茜と過ごす時間も十分にある。

 二十四時間、茜のために時間をつぎ込めると考えれば、これほどまでの幸福は無い。


 残念ながら茜は案外、頭が悪いようだから、その有り余った時間で茜を再教育する必要もあるし、言葉だけでは茜が僕を到底、理解できないという事実も残念だが確かに得られた。


 茜の肉体、心の両面を僕の望む形に矯正する。今の不完全な茜を全て破壊し、僕が新たに茜を造り直す。

 そして、最高傑作を僕がこの世に生み出す。その覚悟がこの時、固まった。


 そして、僕は永久に茜を僕の監視下に置く準備を着々と進めていった。


 そして、僕は決意した。

 吹山 茜を、誘拐する事を。

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