朱宮あめ
異世界恋愛和風・中華
2024年11月04日
公開日
9,422文字
連載中
神の力を与えられた四人の現人神が守る世界。
花柳家の養子として生きてきた睡蓮は、家族に愛されない日々を送っていた。
ある日、東の地方を守る龍桜院楪の花嫁に選ばれた睡蓮。
しかし、持ちかけられたその結婚は愛のない契約結婚。
居場所のない花柳の家を出ることができるのならと契約結婚を受け入れた睡蓮は、離れて暮らす夫、楪に毎月手紙を出していた。
しかし結婚から三年、睡蓮は楪に離縁を申し込む。
その理由は……。
人間不信の現人神 × 魂を失った花嫁
すれ違いラブファンタジー。
プロローグ
この世はもともと、神のものだった。
現世と幽世を守っていた神はあるとき、現世を守る役割を人間に与えることにした。
神はまず、現世を四つに分断し、それぞれを守る人間を各地方から無作為に選んだ。そして、選んだ者たちにその土地を守れるだけの特別な力を与えた。
現在、四神の役割を担っているのは、東を龍桜院、西を白蓮路、南を朱鷺風、北を玄都織の四家である。
人間離れした美しい容姿と力を持つ現人神たちは、ひとびとの憧れであり、あやかしにとっては畏怖の対象であった。
彼ら現人神には、いくつか掟があった。
ひとつ、自らの命をかけて任された国を守ること。
ふたつ、現人神となるときに伴侶を迎え、式典にはふたりそろって参加すること。
そしてみっつ。伴侶は、必ず自身の守る土地から選ぶこと――。