「なんで
怒れる売れない画家はドンッとテーブルを叩いた。
「そりゃあ、皆がすごいと思う絵だからじゃないか?」
またかと画家の友人はげんなりした。
「あんな絵のどこがいいんだよ!」
売れない画家がテレビを指す。
「まあ、お前さんが描いた絵よりは確実に話題性は高いよな」
友人はテレビに映る問題の絵を見ながら答えた。
「悪かったな! どうせ俺の絵は万人受けしねぇよ」
「そんなに悲観するなよ」
頭を抱えて嘆く売れない画家をなだめる友人。
「うるせぇ! どうせ俺には才能なんて無いんだ」
「いやぁ、才能の問題じゃないと思うぞ」
「下手な
「だが、実際お前さんが全く同じ絵を描いたとしても、全く売れないと思うぜ……と言うか絶対に売れねぇよ」
友人は肩をすくめた。
「やっぱり俺には才能がないんだ」
「いやぁ、才能の問題じゃないって」
「じゃあ何が問題なんだ?」
売れない画家の質問に友人は首を傾げながら考えた。
「種族の問題……かな?」
「種族は……どうしようもないな」
「だろ?」
二人の目がテレビに向く。ちょうど問題の絵を描いた画家が登場したのだ。司会者が彼にマイクを向けた。
『世間に注目されている画家にひとことお願いしましょう!』
『ウホッ、ウホホホッ!』
「やっぱゴリラが描いたってだけで話題性が高いのかな?」
「まあ、ゴリラであれだけ描ければなぁ」