ドアが開かれた瞬間、そこには加藤の姿があった。朱音は大きく目を見開き、凍り付く。加藤の手には学校の防犯訓練でしか見たことのないさす股がある。
「先生、不審者はどこですか」
「加藤君、室戸先生を制圧しなさい」
加藤ははっと声を上げ走り込み、“大崎の”持っていたスタンガンをさす股で振り落とし、大崎の身柄を確保した。
「お手柄だね、加藤君」
「いえ、二人が無事でよかったです」
加藤は室戸に会釈をする。
「加藤さんって大崎先生の手下じゃないんですか⁈」
驚く朱音を見て、加藤はハハハと笑う。
「敵をだますにはまず味方からって言うからね。数馬!」
加藤が外に向かってそう大声を上げると、中井はビニールひもを持って走ってくる。
「これしかなかったけどダイジョブかな」
「おう。縛るからあんたらちゃんと抑えて」
加藤と中井は大崎を押さえ、室戸はビニールひもで大崎を縛る。大崎は抵抗せず、静かに目を瞑っている。
「え、みんな協力してたんですか」
「まあ途中からね。いやぁうまくいった」
中井はにんまりと笑う。
「室戸先生が変な教育法立てたのも原因ですよ」
加藤は鋭い視線を室戸に送る。
「その件は申し訳ない。パソコンのファイルは消したつもりだったんだけども、大崎に見つかったのよ。でも、夏川さんのおかげで証拠は取れたから」
「え?」」
「そのトーブー君ボールペンに入っているからさ、レコーダー」
「は?」
「大丈夫。大崎の声を感知した時にしか電源入らないようになってるから」
またしてもやられた。朱音はボールペンをひねると、中から金属製のマイクの様なものが出てきた。
「大崎先生の盗聴器踏み潰してた人がレコーダー仕掛けたんですか」
「それはそれ、これはこれ」
室戸は知らん顔をする。
「それで、この学校どうするんですか」
加藤が深刻そうな顔で聞く。
「解体だな。だけども、大崎んとこの政治家さんたちが関わってるからスムーズには行かんね」
「え、大崎先生は教育法を助言していただけじゃないんですか」
あくまでアドバイサーだと思っていたが、どうやらもっと深い関わりがあるらしい。朱音は以前の中井の言葉を思い出し、ハッとした。
親戚が経営していた学校――実験に参加させられていた子供たちはそこから連れてこられたのか。
「室戸先生も、責任もってして最後まで向き合ってください。3割は先生が原因ですから」
中井が言うと、室戸は静かにうなずく。
「分かっとる。とりあえず、今は警察に任せなさい。一応信用できる刑事が来るからな」
室戸は親指でドアの方をさす。
すると、スッとひょろりとした体形の男性が現れた。