――大学三年の冬
「ああああああああぁぁぁ!! もう終わりだあ」
私、
私の過去は失恋ばっかりだ。
全ては中学2年の冬に私の好きな男を取られたことが始まりだ。彼女は小学校からずっとマウントを取り、私から優越感を搾り取った女王的な存在で私とずっとシノギを削ってきた。
私の武器はただ一つ、陸上だ。彼女とは同じ競技をして常に一位だった。
学校では女王でも、陸上という舞台では私が女王だ。だがしかし、その女が部活内で男を取ってからすべて変わった。
彼女は見せびらかすように部内でいちゃつき、近所の公園でお揃いのニケのシューズを履いたりしていた。その日常が繰り返していくうちに私の尊厳は壊れていき跳べなくなった。好きだった純粋な男が女に染まっていくのだから。童貞も卒業したらしい。
対抗しようと恋愛を無理やりしょうとしても上手くいかなかった。みんな彼氏ができて、私より彼氏を優先しあそんでくれなくなって私はただ暗い世界に置いて行かれた気分だった。
そこから私は変にふっきれたのだ。だってリア充に中指を立てるという場所を確立したのだから。自虐していればネタになる。公園ネタなんて擦ってなんぼだ。
だが、大きな心の穴は今だ残っている。高校も同じように取られてトラウマになっている。なにが応援するね!だよ。あの汚いビッチが。くたばれよ。
みんなが当たり前に手に入れるものを私はただ指をくわえているのだ。寂しくて悲しくて苦しくてニケのシューズを見るだけで発作がでる。今はリハビリで履いているが。
そんなこんなで私には彼氏がいない。ずっと一人で歩いてきた。一人でスタバもカラオケにもいける。でも、イントラでよく見る画像を私は撮れないんだ。
今日は友達と遊ぶ予定だったのに、友達は彼氏のパパとママが来るからといってドタキャンされた。約束より男のほうが大事なのかよ。
彼女はクリスマスにシンガポールに二人でいくらしいい。わたしには予定がない。あと二か月。また、彼氏ができずにまた繰り返すと思ったら涙が出てきた。
「もう嫌だなあ」
私は溢れそうな涙を顔を上にあげて耐えた。それにしても、この階段124段あるらしい。長いよね。何が単位数だよ。
車椅子の子がいても一向にエレベーターは出来ないし何なんだこの学校。
顔をあげていると……ふと星が光った。
こんな真昼に星が光るとは何事だろう。
「ん?」
そして、その星は少しづつ大きくなっている。まるでこの階段を目指すように。
あっ、死ぬわ。これ。
そうだな。生まれ変わったらイケメンハーレムとかの世界に行きたいな。
ドカーン
大きな光が階段に突き刺さった。しかし、地は揺れることなくただ光っただけだった。
私は生きてるらしい。そして、光が消えると同時に人影が立っていた。
「――!」
なんだこの美少年。まつげ長いし、艶のある髪、目はキラッキラだし高身長に細い腕。
これはイケメンだ。ピーのアイドルよりかっこいい。
そして、その男は私の顔をじっと見つめていた。
「そう驚くな。お前は派手なのが好きだったから俺なりにやってみたんだ」
「?」
「少してこずったが、こうしてお前に会えてうれしい。ずっと待っていたが、生まれ変わりというものをしたと友に聞いたからな。お前がいない世界はつまらない。それにしてもここは……どこだ。それに見た目が大きく変わったな?」
「……」
彼は私の手を握り顔を近づけてくる。
「……誰!?」