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第502話 配信許可が出たのでやってみた②

 今度は平原。 これまた遮蔽物のないフィールドだ。


 「えーっと、次の対戦相手は『ふわわ』さん? なんか可愛らしい名前ですねー」


 ツミキは内心で弱そうと思いながらコメント欄を一瞥。 

 ヤバそうな相手だったら誰かしら知っているだろうと思ったからだ。


 『あー……』『また「星座盤」かよ』『オワタ』『え?知らんけど誰?』

 『イベントの時、ソルジャータイプでアメリカのジェネシスフレームをぶち殺してた化け物』

 『は? ソルジャーでジェネシス狩れんの?』『マジマジ、俺近くだったから見てた』


 「マ!? いや、えー? 噓でしょ? でも『星座盤』って名前は割と前に聞いた事あるような気が……」


 言われてみれば聞いた事のある名前だなと思っていたが、そんなヤバい相手だったのか。

 格上だと思って気を引き締めていかなければならない。 

 さっきは迂闊に飛んだから撃ち落とされたので今度は高度を上げ過ぎずに様子を見る感じで行こう。


 試合開始。 ツミキは上昇し、相手を視認できる程度の高度を維持。

 相手の機体を確認。 特徴的な装備構成だった。

 両肩に長い刀、腰にも刀、刀だらけだ。


 『野太刀www』『なっがw』『あれ振り回せんのかよw』

 『ってか腰のは脇差じゃなくて小太刀か。 どんだけ刀好きなんだよ』

 『俺は腕のふくらみが気になるな』『ウエポンラックじゃね?』

 『なんか仕込んでそうだな』『……もう、何も言えねぇよ』


 「遠距離武器は持ってない感じかなー……」


 『今回は距離取った方がいいんじゃね?』『だなぁ。 明らかに近接特化だし』

 『逃げ回れば瞬殺は免れるかもな』『言っている間に10秒過ぎたぞ! やったな!』


 ――こ、今度こそ中距離で削れば大丈夫だよね……。


 どう見ても飛び道具は持っていない。 

 遠距離よりは得意な中距離で近寄らせないように立ち回れば問題ないはず。

 突撃銃を連射しながら距離を維持――いない? そこには標的の姿はなく、銃弾が地面を穴だらけにして砂埃を舞わせるだけだった。 何処にと視線を巡らせるといつの間にか真下。


 『はっや』『エネルギーウイングか。 ありゃプラスだな』

 『エネルギーウイング持ちはこれだから嫌なんだよなぁ。 緩急付けられるとマジで当たらねぇ』

 『元々、エンジェルタイプ限定の装備だったのにプラスに積めるから低ランク帯でも使ってくる奴が増えて来て嫌になる』

 『じゃあおめーもプラス買えや』『プラスフレーム高くて買えねぇよ』

 『ってかこのランク帯だったら大手ユニオンの支援ないと買えねーだろ』

 『「星座盤」って大手なのか?』『――の割にはあんまり名前聞かねーな』

 『俺は知ってるぜ、リーダーがAランカーにコバンザメするのが得意だからイベントで好成績残してるって所だろ。 知らんけど』『知ってんのか知らねーのかどっちだよ』


 ツミキは姿勢を変えて真下に照準を合わせるとガキリと嫌な音がして弾が切れた。


 ――こんな時に!?


 「ちょ、弾切れ!?」 


 『あー、駄目だこりゃ』『残弾把握されてんじゃん』

 『つってもあの武器じゃ届かね――あ、エネルギーウイング装備が相手じゃ逃げ切れねーか』

 『さよなら』『21、22、23さっきよりは長生きだな』


 敵機は腰の太刀に手を添えている。 抜刀の構えだ。 

 だが、まだ刀の間合いではない。 当てたいなら減速するはずなので逃げに徹すればどうにかなる。


 「この距離なら噴かせば躱せる!」


 『早めに逃げといた方がいいと思うけどなぁ……』『なんで?』

 『いや、あの刀って確か――』『ってかこんだけ射程差あるんだからとにかく逃げ回れよ』


 敵機は明らかに間合いの外にも関わらず一閃。 

 その動きに何か飛ばしてくるのかと横に躱す動きで対応する。

 ツミキが見たのは柄だけの刀だった。 


 「あれ? 刃がない?」


 『なんだありゃ? ハッタリ?』『違う。 躱せ!』

 『あれ? 一瞬、刃が見えたような……』『うわ、マジかよ』


 コメント欄は一部が気が付いたようだが、大半は困惑。 

 ツミキが何かを言おうと口を開く前に予期しない場所からの斬撃を受けて機体がバラバラになった。


 「え? えぇぇぇぇぇ!? 何で!? 何でぇぇ!?」


 爆散。 ツミキが声を上げた頃には既にホーム画面に戻されていた。


 「え? は? 何? 何が起こった?? ツミキ、躱したよね? 絶対、当たってないよね??」


 『いや、当たってたぞ』『あんなのありかよ』『何だ? 見えない剣か何かか?』

 『は? 何? いきなりバラけたように見えたが??』

 『見てたけどさっぱり分からん』『俺も分からん。 誰か説明プリーズ』


 「分かった人居たら教えて~。 マジで何が起こったのかわからん」


 ツミキがコメント欄を眺めていると次々とコメントが流れる。


 『あの太刀の刃部分を転移で飛ばしたんだ』

 『よく見たら分かるけどいきなり出て来た刃に細切れにされてんぞ』

 『あー、ブレード部分を転移させて斬ったって事??』

 『映像、見返したら分かると思うけど、鞘から抜いて振り切るまでは刃はあったように見えたから振り切った瞬間に飛ばしてんだろ』

 『空間転移系の武器かぁ。 店売りされてんのか?』『それ系ってランカー様専用じゃねーの?』


 「売ってたとしても高いんじゃないの?」


 『一応、普通に買えるぞ。 多分だけどさっきの刀はこれだな <ナインヘッド・ドラゴン>』


 コメントに張られたリンクを踏むとショップ画面が表示されて武器の詳細が出てくる。

 刀身が九つに分離して相手を切り刻む、転移技術を盛り込んだ最新の刀剣と銘打たれている。

 相手は何をされたか分からずにバラバラになるという訳だ。 すごく強そうだった。


 「おー☆ 強そう! ツミキも買ってみようかなぁ。 でも、何で総合評価★1.1なんだろ」


 『ひっくww』『低すぎて草』『買った奴の大半がゴミ扱いしてるって事っすか??』

 『何で?』『ツミキたんバラバラだったじゃん。 強くね?』

 『今、概要読んでる。 スペックだけで見たら凄いけどこれまともに扱えねーぞ』

 『振るだけでいいんじゃねぇのか?』

 『レビュー見てみろ。 転移先を設定しなきゃならんから碌に当たらんぞ』

 『でも、さっきの奴は普通に当ててたのはなんなん?』『さっぱり分からん』


 「わ、すっごい! 今なら80%オフだって! えい、買っちゃえ☆」


 コメントを無視してツミキは購入ボタンを押す。


 『うっそだろwwwwww』『買ってるwwwwwww』

 『馬鹿じゃねぇの?』『買ってて草』『コメント欠片も見てねぇ』

 『そんなんだから転生する事になったんじゃねぇの??』

 『失望しました。 ファン辞めます』


 「買ったのでこれからランク戦ガンガン勝っていくからよろしくね☆」


 賽河原 ツミキの挑戦は続く。

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