・・・もがこうとも、腕が無い・・・
・・・掴もうとも、指が無い・・・
・・・動こうとも、足が無い・・・
・・・声を出そうにも、口が無い・・・
・・・音を聞こうにも、耳が無い・・・
・・・姿を見ようとも、目が無い・・・
何も無い・・・それが、『自分』だった・・・
しかし、『自分』という存在は認識できている・・・
・・・『何も無い』ことを認識できている・・・
・・・認識がある・・・意識がある・・・
そんな無駄なモノは、いらなかった・・・
いっその事、全て無であったら良かったのに・・・
・・・それがどれだけ残酷なことか・・・
こうして、『捨てられようとしている自分』を認識してしまうのなら・・・
全部、『無』で良かったのに・・・・・
・・・これが、五体満足なモノなら、違っていただろうか?・・・
自らの腕で、もがき・・・
指で、つかみとり・・・
足で、動き・・・
口で、声を出して・・・
耳で、音を聞き・・・
その目で、見ただろうか・・・
『未知なる存在への希望』を、抱いたのだろうか?・・・
・・・しかし、『自分』には、『何も無かった』のだ・・・
・・『希望』に対して抱くのは『絶望』・・
・・・永久の闇、静寂だけが、『自分』のそばにいてくれた・・・
それが、『私の全て』、だった・・・