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月に耳を澄ませる。
もしかしたら歌が聴こえてくるかもしれない。
幸せの象徴であるブルー・レインの月の歌が聴こえたなら、今夜は月露のミントティーを淹れよう。
月明かり差し込む台所から沸騰した薬缶が歌を奏でている。
ブルー・レインの月が浮かぶ夜には泡沫のティータイムを楽しむ。
――もしかしたら。
あなたが帰ってくるかもしれない。
月の向こう側から箒に乗って、紺碧色のローブをはためかせて。
「……こんな夜は夢物語を語ってもいいわよね。アスラン」
彼を知る者はこの世界に誰一人存在しない。
彼が魔法を使って、すべて封じてしまったから。
私だけのアスランになった。――あなたの思惑通り。