目次
ブックマーク
応援する
2
コメント
シェア
通報

✾ブルー・レイン

月に耳を澄ませる。


もしかしたら歌が聴こえてくるかもしれない。


幸せの象徴であるブルー・レインの月の歌が聴こえたなら、今夜は月露のミントティーを淹れよう。


月明かり差し込む台所から沸騰した薬缶が歌を奏でている。


ブルー・レインの月が浮かぶ夜には泡沫のティータイムを楽しむ。


――もしかしたら。


あなたが帰ってくるかもしれない。



月の向こう側から箒に乗って、紺碧色のローブをはためかせて。



「……こんな夜は夢物語を語ってもいいわよね。アスラン」



彼を知る者はこの世界に誰一人存在しない。


彼が魔法を使って、すべて封じてしまったから。




私だけのアスランになった。――あなたの思惑通り。



この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?