届くはずのない歌は、忘れ去られてゆく運命にあるのか。
雨音に掻き消されて、音の葉になることもない。
なんで、オウサマだって教えてくれなかったの。
なんで、全部ひとりで抱えて勝手に孤独になるんだ。
――私は。あなたの何だったの……?
「今度青綴の花を一緒に見に行こう。お前によく似た、強くて美しい花なんだ」
あなたの笑顔は、私に夜明けをくれた。
でもあなたはちがったの…………?
歌も聴いてくれる者がいなければ何の意味も持たない。
誰にも打ち明けられない秘密は孤独の中の孤独だ。
――じゃあ。今度は私は追いかけるしかない。
歌を届けるために。