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✿死者が灯す街

「ようこそ死者が灯す街へ」



「死者が?」




昏い夜の底に彩れたその街に灯りはない。それでも夜を見透せるこの瞳のおかげで、困った事は一度たりともない。せいぜい悩みがあるとしたら、死者を呼び寄せてしまうくらいだろうか。



華美な装飾を好まない自分の纏うものは、旅路の途中で出会った《織姫》と呼ばれる少女だった。言の葉から織る、風から織る、水から織る――世界に存在するものなら、すべて可能であると。



――ねぇリュカ。僕にもできるかな?



俺は、さあなと心で返事し。それから独り言のように口にする。




「どうやって灯してるんですか、死者は」



「死者の、言の葉です。言の葉には、理なんて関係ないですから。言の葉には無限の力があるんですよ――それこそ禁忌すらも紐解いてしまう力が」



「…………」





《リュカは。リュカだけは、わたしを否定しないよね?》




俺が――終わらせる。




この滑稽な物語は、俺が始めたものだ。



俺が、いなければよかったんだ。




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