夏祭りを彩る宵闇に浮かぶ赤い提灯。
白炎に燃える嘘。
紅玉の瞳に、ひそむ呪。
「ねえあなた、狐面かぶってた?」
夏祭りを楽しむ恋人の問いかけは――その後、悲鳴の花を咲かせる。
椿の、あかい海が。
夏の終わりに開かれる妖しい祭り。
どこまでいっても朱く果てがない。
人の祭りではない。
しかし、人は朱の美しさに誘われる。
瞳に朱が映る者は――どんな結末になるのか、誰も知らない。
「狐面をかぶってた?」
その問いかけの先に待つのは……。