都市伝説金色の蝶ローエンより。
「極上の幸福に浸かれば浸かるほど、堕ちていくのは簡単です。人は賢者でもあり愚者なのですから。終焉は、いつも隣にあるのですよ」
夜を纏う男は、月灯りの夜に語る。
紅茶の水面が揺れるグラスとレモンツリーのチーズの焼き菓子。
心に触れる泡沫の蝶は、今宵もやさしい毒を零す。
終焉は幸せの隣にある。
どんなに死を忘れたくとも遠ざかることはできない。
“メメントモリ”――死を忘れるな。