記憶のともしび屋
薄暗い室内を照らすのは美しい星月夜に集めた欠片のランタン
古びた紙がテーブルに散乱し、
壁には香草がつるされている
窓辺には金木犀のペンダントを首にさげた 少しふくよかなミルクティー色のねこ
夜に決まってやってきてはここに泊まっていく――どうやら宿代わりにしているらしい
緑髪のやさしい毒吐きの青年と
赤髪の家事と真面目が取り柄だけの青年と……
――そして。ともしびの魔女がお待ちしています
記憶のともしび屋では隠れた記憶を照らしだします
記憶を照らすには対価が必要
ともしびの魔女が決めるその対価が
しかし魔女はきまぐれ
決まって緑髪の毒吐きの青年に任せることも多々あり
魔女はきまぐれに記憶を照らし
人の知らない記憶を物語を読むように楽しむ