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✿黒い鳥にはご用心

静謐なクジャの森 

高い木の上から見下ろす黒い鳥

鳥は来客者の少女に語る 語り慣れた台詞を


「ようこそお嬢さん。ここは君が識りたい物語も識りたくない記憶の物語――とにかくなんでもある。でも選ぶのは君じゃない。“この森”だ」


「あなたではないの?」


「私はただの鳥だ。知識も物語も持たない、“この森”の鳥でしかない」


「この森はそんなに偉いの?」


「おやおや。本当に何も知らないお嬢さんだ。では私が聞いたある物語を語ろう、長い長い物語になるが」



静謐なクジャの森

今は誰も訪れない 立ち入りを禁じられている深い森



でもある日迷い人が現れる

ここでは想いも記憶もすべて泡沫


黒い鳥が出迎えてくれる幻想図書館の森

在るのか 無いのかすら朧気の森




「やあやあいらっしゃい。君が求めているものは、果たしてここにあるのかな。ふふふ」




黒い鳥にはご用心を




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