水底の神殿
今は面影なく
崩れ落ちた柱が静かに眠るだけ
青い月の夜には何処からともなく
詩うたが聴こえてくる
でも、誰も詩うたの終わりは知らない
水の民は詩で語り合う
神殿に飾られた水中花は亡き花に
青い月の夜は一番美しい祈りの夜
愛する者のために祈りをこめた詩が遠くの果てまで響き渡る
詩は繰り返すだけ
詩の終わりは語られないまま
地上には亡き花の残骸が流れつく
今も水の民は彷徨い続けているのかも、しれない