『やっほー皆~! 夏休み企画二日目はカラオケ配信です! 皆のリクエストの曲とかも歌って行こうと思うからリクエストお願いね!』
夏休み企画二日目、俺は一人パソコンで配信を見ながら黙々とグッズの梱包をしている。
それと同時に明日の格付けチェックの準備も進めている。
:百合ちゃんにはアニメ声生かしてキャラクターソング歌ってほしいな。
:リンちゃんは凛々しいからカッコいい系の曲合いそう。
:雫月ちゃんとリサちゃんはボカロよく歌ってるよね。
『それじゃあ歌う順番はルーレットで決めるね。……えーっと一番は百合ちゃん、私、リンちゃん雫月ちゃんの順番ね。それじゃあ皆リクエスト送ってね』
そう言うとコメントは曲名で埋め尽くされたが、やはり殆どがキャラクターソングだ。
『うーん。じゃあこの曲にしようかな』
そう言って百合さんが選んだのは今人気のアイドルアニメで作中でアイドルたちが歌う曲だ。
凄く人気がある曲でSNSでも多くの歌ってみた、踊ってみたまで投稿されている。
それだけじゃなくテレビでも紹介されたりと今時の子は知らないほうが珍しいまである。
そして百合さんは歌い始めた。
:やっぱり百合ちゃん可愛い系の曲めっちゃ合うな。
:アニメで百合ちゃんの歌声流しても違和感ない。
:もっと有名になったら一話だけ声優として出るとかそういった仕事も来るかもしれないよね。
「皆どうだった~? いやいや! 私に声優とか無理だよ。声優さんって凄いんだから」
「でもそれくらい大きくなれたら良いよね。それじゃあ次は私の番! えーっとじゃあ私がコメント打った次の曲にしようかな…………えーっ! この曲は難しいって!」
リサさんの歌う曲に選ばれたのは有名なボカロ曲。
何故有名になったのか、それは有名なボカロPが作ったからだけではなくBPMも早くとにかくボカロならではの早口で歌う事になる曲で高音を出す箇所もある歌うにしては難易度が高すぎる曲だ。
リズムゲームでも超高難易度曲として収録されていたりもする。
「リサちゃんならいけるよ」
「何を根拠に言ってるのよ」
そう言いながらもリサさんは歌い始めた。
最初はゆっくりとした曲調なのだが途中からありえないくらい早いリズムに変化する。
:ここまで息継ぎなしで歌えるのヤバすぎ。
:音域広いの羨ましい。
:早口の箇所もはっきり歌詞聞き取れるの凄い。
初めてリサさんの歌声を聞いたがめちゃくちゃ上手い。
「いやー、きついよー。いきなりこの曲は喉がやられちゃうって」
「でもちゃんと歌えてたじゃん!」
続いてリンさんの番。リンさんはカッコいい系の曲調の曲を歌った。
英語の歌詞が多めの曲だが、発音が凄く綺麗だった。
凛々しい歌声に視聴者も凄く盛り上がっていた。
雫月は夏を代表する曲として有名な歌を歌った。
この曲は雫月の好きな曲で一緒にカラオケに行った時は必ず歌う曲だ。
夏休み企画としてはピッタリの曲だな。
:俺もカラオケ行きたくなってきた。
:俺はカラオケで配信見ながら同じ曲歌ってる。リサちゃんの歌った曲は無理。
:それ良いな。俺も今からカラオケ行こうかな。
それからは百合さんとリンさんの二人で歌ったり四人で歌ったりしていった。
「結構歌ったねー」
「うん。でもまだまだ歌っていくからね」
「でもちょっと休憩、雑談タイム! そう言えば皆私たちの水着衣装どう?」
:皆可愛すぎる。
:グッズ全部買ってしまった。
:てかリサちゃん胸盛ったでしょ。
「はぁ~! 盛ってないし! 水着衣装だからそう見えるだけだし!」
「やっぱりみんなもそう思う? 絶対盛ったよね~」
「盛ってません!」
:アクリルスタンド百合ちゃんとリンちゃんが左右対称になってるの凄く良い。
:やはり二人はてぇてぇ。
「これは百合ちゃんの案なんだよね」
「うん! 二人並べてほしいなって思って。えへへ」
「はーい。二人とも隙あればいちゃつかない!」
「ねぇねぇ雫月ちゃん、これ」
「……え、それじゃあ……」
「うん。呼んでみたら?」
何やら秋奈と結唯さんが話していると思うと、突然秋奈から電話がかかってきた。
とりあえず出てみる事にした。
「もしもし? どうしたんだよ」
「ねぇ三葉、直ぐに私たちのいるところに来てよ!」
「え? なんで急に。何かあったのか?」
「良いから早く、早く! 待ってるからね!」
そう言って一方的に通話は終わった。
一体何があったんだよ。配信を見ていても特に何かが起こった様子はないしなんでいきなり来いなんて……。
俺はカラオケ配信には参加しないのに。
それでもとりあえず向かう準備を急いでして家を出ることにした。
二十分くらいでスタジオに到着して秋奈に一言連絡をすると、入ってきてと返ってきたのでそのまま入った。
「あ、来た来た!」
:もしかして三葉くんきた?
:これは熱い。
「えーっと、なんで俺呼ばれたの?」
すると結唯さんがスマホの画面を俺に見せてきた。
画面には俺のチャンネルのホームが映っている。
「俺のチャンネルがどうかしたの?」
「よく見てよここ」
そう言って結唯さんは俺のチャンネル登録者数の場所を指さした。
「チャンネル登録者一万人超えてるじゃん!」
「え、いつの間に⁉」
「という事で三葉くんも歌おう! 一万人突破記念にね!」