「ちょっと透夜! これはこっちの梱包だよ」
「え? あーこっちか!」
「円華ちゃん、私のグッズにサインして~」
「勿論良いよ。それじゃあ私のグッズにも瀬奈ちゃんのサイン貰おうかな~」
「はいそこ二人はいちゃつかない!」
学力テストの配信が終わった後、結唯さんの家に集まり一旦届いたグッズの梱包をしている。
予想していたよりも沢山のグッズの量に俺は少し後悔をしたくらいだ。
「購入制限かけててよかったね」
「本当だよ。かけてなかったら配信してる場合じゃなかったよ」
同じ商品は一人二つまでという制限をかけたらしいが、それでも四人居てグッズの種類もそれぞれ五つある。全部買うと40個。流石にそんなに買う人はいないだろうと思ったが、なんと40個買ってる人が二人も居たのだ。
他にも全種類を買う人は結構いる事に驚きだ。
「よし! じゃあここは透夜に任せて私達は皆でご飯でも食べにいこー!」
「おいこら」
立ち上がり歩き出そうとする秋奈の腕を掴んで止める。
「直筆サインポスターまだ終わってないの秋奈だけだぞ」
「言わないで! 私は夏休みとかの宿題は最終日にやるタイプなんだから」
「胸を張って言う事じゃない」
俺達がこんなやりとりをしている中、円華さんと瀬奈さんは仲良く二人並んでサインを書き続けている。
本当に見習ってほしい。
一方結唯さんは一人で俺達を見てむっとした表情をしている。
「ねぇー私も恋人欲しい!」
すると結唯さんが突然そう口にした。
「どうしたんですか結唯さん!? ってか俺達全員恋人いないんじゃ……」
「そう言う事じゃなくて! うーん、だって円華ちゃんと瀬奈ちゃんでペア、雫月ちゃんと透夜くんでペアみたいな感じじゃん? そうなると私一人になっちゃうじゃん!」
「そんなことないよ~。私達全員でグループみたいなものじゃん!」
「私は結唯ちゃんも好きだよ~」
そう言って円華さんと瀬奈さんは結唯さんの元へ行った。それに続いて秋奈も結唯さんの元へ行った。
「じゃあ秋奈ちゃんは今日から私の恋人ね」
「良いじゃん! 最下位二人組お似合いだよ」
そう言うと結唯さんは私は三位! と怒りながら言ってきた。
「まぁまぁちゃんと皆結唯ちゃんの事は大好きなんだから!」
「結唯さん綺麗だし普通に恋人できそうですけどね」
「じゃあ透夜くん貰ってよ!」
「それはちょっと……」
「なんでよ!」
「もう! 二人とも手を動かして!」
むっとした表情の秋奈に怒られた俺達は直ぐに手を動かした。
何故か俺だけ腕をつねられたのは理不尽だと思う。
「そういえば明日のカラオケ配信は透夜さん来ないんですか?」「
「カラオケ配信は行かないよ」
「そうなんですか。せっかくだから透夜さんも来たらいいのに」
「なんか透夜は歌ってみたとかは記念配信でするらしいからね。透夜には梱包をしてもらおう!」
そう言って何故か手を止めて立ち上がろうとする秋奈を再び止める。
「手を動かしてって言ったのは誰かな?」
「さ、さぁ……」
「明日まではまだ時間あるぞ」
「だって~! お腹すいたんだもん!」
「明日も早いし今日はここまでにしよっか。私が夕飯作ってあげるから待ってて」
結唯さんがそう言ってキッチンへ向かうと秋奈はまるで子供の様に喜んだ。