「えーっとお二人ともまた時間が……」
「待って! もう喉元まで出てるから!」
「私ももうすぐ出るから!」
二度目の秋奈と結唯さんのターン。またしても長時間正解できずにいる。
今現状は俺が全問正解で三ポイント、秋奈と結唯さんはゼロポイントだ。
この時点で俺の勝ちは確定しているが最下位を決めなければいけない。
「ではあと五分で答えが出なかったら両者ゼロポイントですからね」
「いや十分待たせて!」
「いや長いて」
:もう二人とも仲良く最下位で良いんじゃないか?
:雫月ちゃんかリサちゃんのどっちかが正解できたら三葉が負けで良いレベル。
:これは結構簡単な問題だと思うけど。
「じゃあ質問! なんでその男は外出しなかったんですか?」
「それイエスかノーで答えられないじゃないですか」
「え~お願い! 特大ヒントとして一回だけ! ほら雫月ちゃんも一緒に」
「え!? 雫月も?」
「お願い三葉くん」
「三葉お願い~」
二人は上目づかいで俺の肩に手を置いて甘えた声色でそう言ってきた。
:ついに最終手段に出たww
:正解できれば手段は問わない二人ww
「え、えぇ~。う~んしょうがないなぁ~」
:おい三葉www
:何揺らいでんだよwww
:まんまと二人にハマってる。
「えーっとこの人は出かけるために靴下を用意したわけではないです。なので出かけようが出かけないようが靴下は用意しています」
「でかけるための靴下じゃないってこと?」
「あ! 分かったかも!」
そう元気よく手を上げたのは結唯さんだ。
「男の人には子供が居て子供が明日出かける時に着る靴下を用意した。それで自分は出かけないが子供が笑顔で出かけていくのを見送って笑顔になった」
「リサさん……不正解です!」
「はぁ~~! 絶対合ってるって! 別の問題の答えと見間違えてるんじゃないの⁉」
:君の答えが間違ってるんだよw
:アホすぎるwww
「でも少し近いですよ」
「え、本当に⁉」
「まぁ本当にすこーしだけですけど」
「どの辺が近いの⁉」
「小さい男の子って所だけ近いです」
そう言うと二人は唇を尖らせながら真剣に考え始めた。
そして再び長考。
「あのー、もうすぐ五分経ちますけど……」
「待って待って質問! その靴下は履くための靴下なんですか?」
「お! 良い質問だよ。いいえ」
:お! 遂に正解に近づいたぞ。
:これ雫月ちゃんひらめいたか?
:遂に正解なるか?
「え? 履くための靴下じゃないの?」
「え、なんでじゃあ質問したの?」
:ごめん、期待したのが間違いだった。
:適当に質問したのかよww
:ポンコツ可愛いww
「だってとりあえず何か質問しないと分からないんだもん!」
「でも良い質問って言ってたから履かない靴下の使い道について考えればいいんだよね」
「まぁそうですね。皆知ってるものだと思いますよ」
「う~ん……靴下の使い道……靴下って言う名前の何か別の物だったり?」
「難しい質問ですね。確かに別の物かどうかって言われたらグレーなのかな、でも形はちゃんと靴下ですよ」
:これもう正解いけるやろ。
:超特大ヒントやぞこれ。
:これで正解までいけなかったら正解できる問題あるのか疑う。
「形は靴下……子供がヒントなんでしょ……?」
「子供……あ! はいはい分かったかも!」
そう勢いよく手を上げて言ったのは秋奈だ。
「この靴下は赤色ですか⁉」
「はい! 赤が大多数だと思う」
「はいはい! 男の子はクリスマスイヴに寝る前にプレゼントを入れる大きな靴下を用意して朝目が覚めたら靴下の中にプレゼントが入っていて満足した!」
「雫月……正解です!」
「やったやった!」
:マジか⁉
:雫月誇らしいよ俺。
:二人のどっちかが正解できると思ってなかった。
秋奈が正解するとコメントは凄い勢いで流れた。
リスナー同様俺も秋奈が正解できるとは思っていなかったので凄く驚いた。
「凄いじゃん雫月ちゃん!」
「えへへ。それじゃあ次雫月が問題出すね!」
「あはは、雫月ちゃん凄い嬉しそうで可愛い」
「それじゃあ問題ね! 飛行機に乗っていたリンさんは、お客様の中にお医者様はいらっしゃいませんかという言葉を聞いて立ち上がった。一体何故?」
:これでリサちゃんが正解したら三葉の負けでよくね?
:雫月ちゃんに負けてられないぞリサ!
:この問題なら行ける!
「はい質問。リンさんは医者でもありますか?」
「いいえ、違います」
「医者じゃないのに立ったのか……」
「え、これってただ隣にお医者さんが座っててリサさんが邪魔だったから立ち上がってどいただけなんじゃないの?」
「え、凄いリサちゃん正解だよ!」
「えぇええええ⁉」
正解した本人ではなく俺が驚いてしまった。
:嘘だろwww
:リサちゃん一回も質問してないぞwww
:リサ覚醒w
:今までアホを演じていたのかと疑う。
「やったー! これで雫月ちゃんと一緒!」
「嘘だろ……リサさんが正解……」
「ちょっと! まるで私がバカみたいじゃん!」
:馬鹿ではある。
:間違ってはない。
:もう一度今までの事を思い出すんだリサ。
「ちょっと皆まで!」
「まぁでも正解は正解なんでね。結果は俺が三勝で雫月とリサさんが一勝ずつで俺の勝ちですね……と言いたいですが、さっきコメントでちらっと見えたんですけど、二人ともが一問ずつ正解できたら俺の負けでいいんじゃないかってきてたので焼肉は俺の奢りって事で」
:三葉優しすぎて惚れそう。
:私は惚れてる。
:流石三葉。
:流石私の未来の旦那。
ちょっと一つ意味の分からないコメントがあるが絶対に拾わない。
「三葉くん流石~」
「やったー! 三葉の奢りで焼肉~」
「じゃあこれで三人のコラボ配信は終わろうかな。またいつかコラボはするかもしれないから皆また来てね~」
そう言って結唯さんは配信を終了した。
「お疲れ様二人とも。良かったら夕飯食べて行って」
「良いの?」
「うん! いきなりコラボしてもらっちゃったからね」
「やったー!」