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第7話【沢村リサとの対面】

「透夜、この後リサちゃん……本名は結唯ちゃんなんだけど、リサちゃんの家に行こうと思うんだけどリサちゃんが透夜にも会いたいって」

「え? 俺に?」


 リサさんって配信の時に秋奈が良く話してたVTuberの子だよな? なんで俺なんかに会いたがってるんだ? 

 もしかして秋奈が俺の事をリサさんに話したりしてるのか? 一体どんな話を……。


「一緒に居るって言ったらね。嫌なら断るよ?」

「いや、向こうが会いたがってるなら秋奈と一緒に行くよ」

「分かった。じゃあリサちゃんに連絡するね」


 そう言って秋奈はスマホを触り始めた。

 昼食を済ませ、リサさんの家へと向かって歩いている途中に気になった事を秋奈に質問した。


「なんで急にリサさんの家に行くんだ?」

「もう直ぐ夏休みでしょ? それで私とリサちゃん、そして百合ちゃんとリンちゃんの四人で夏休み企画配信として四人での格付けチェックしたり四人でのカラオケ配信したり皆の水着衣装を披露したりするんだ。それで水着衣装のグッズを販売するんだけどそのグッズの見本が届いたから確認してほしいって言われたんだ」

「そうなんだ。雫月のグッズって他にもあるの?」

「あるよ。アクリルスタンドとか二百枚限定の直筆サイン付きのポストカードとか色々あるよ。直筆サイン二百枚書くの凄い疲れたんだよね~。次の日腕上がらなくなっちゃった。あ、もしかして私のグッズ買おうとした?」

「いやいや、気になっただけだよ」


 正直雫月のビジュアルは俺の凄い好みだ。だから買おうと思ったが正直に言ったら秋奈に揶揄われそうだからやめておこう。


「本当かなぁ~、欲しいならあげるんだけどなぁ~直筆サインもしてあげるんだけどなぁ~」


 そう言ってニヤニヤしている秋奈にもう一度気になっただけと言った。


「着いたよ、ここがリサちゃんの家」

「めっちゃ綺麗な家だな」


 秋奈が呼び鈴を鳴らすと、数秒してドアが開いた。


「やっほー秋奈ちゃん。そして君が三葉くん? おー想像よりイケメンじゃん! ごめんねデート中に」

「だ、だから違うってば! 結唯ちゃんの馬鹿」

「照れちゃって~可愛いなぁ秋奈ちゃんは」


 頬を膨らませる秋奈にリサさんはごめんごめんと言い家の中に案内された。

 部屋は秋奈と同じようにザ・配信者って感じだ。でも秋奈と違ってカッコよさの方が強い。


「改めて初めまして三葉くん。私は氷川結唯ひかわ ゆい。VTuberとしては沢村リサだよ。結唯って呼んでもらって大丈夫だから」

「初めまして、月城透夜です。俺の方は好きに呼んでください」


 っていうか結唯さんもめっちゃ綺麗な人だ。ギャルって感じが凄い。VTuberとしてじゃなくても顔出し配信してやっていけるレベルだと思う。

 けれど可愛ければ可愛いほど顔出し配信とかをしたらストーカーとかのリスクが高いのか。そう考えたら顔を出さずに、けれど画面を寂しくしないで配信できるVTuberは凄く良い方法だな。


「オッケー。それじゃあ早速グッズ確認してもらおうかな」


 結唯さんは大きな段ボールの中から色々なグッズを取りだしテーブルの上に並べた。

 アクリルスタンドに缶バッチ、ネームプレートにキーホルダー。それだけじゃない、クッションまである。

 秋奈こと雫月のイラストは水色のオフショルダ―の水着だ。


「凄く良いじゃん! ねぇ透夜はどう思う?」

「缶バッチもキーホルダーも丁度いい大きさだしアクスタも大中小って大きさも選べるから凄く良いと思うよ」

「じゃあ透夜にもプレゼント! 幼馴染の特権だよ」

「じゃ、じゃあありがたく貰っておこうかな」


 そう言ってクッション以外のグッズを貰った。クッションは販売開始されたらこっそり買うとしよう。


「そういえば二人は今日何しにショッピングモールに行ってたの? 秋奈ちゃんの服買いに行ったの?」


 結唯さんは俺が持っていた秋奈に買った服が入った袋を見てそう答えた。


「この服は透夜に買ってもらったんだ」

「へ~透夜くんにね」

「な、なんですか」


 結唯さんは俺の方をみてニヤッとした表情を浮かべた。


「なんでもないよ。ただちょっと良いなぁって思っただけ。幼馴染の服を買いに一緒に行くのって凄く仲良いんだなぁって思って」

「本当の目的は透夜の配信機材を買いに行ったんだ。服はそのついでだよ」

「配信機材?」

「透夜もVTuberを始めるんだよね~」


 秋奈の言葉に俺は頷いて答える。


「そうなの! じゃあ私ともコラボしようよ! 雫月ちゃんよりゲーム上手だよ」

「ちょっと結唯ちゃん! 次のコラボは私とホラーゲームするんだから!」

「それじゃあそれが終わったら私ともコラボしようね~」


 そう言って結唯さんは俺の方へ近づいて来た。


「ちょっと近い!」


 その間に秋奈が割り込んできた。


「むぅー」

「まぁいずれはしましょう」


 そう答えると秋奈は俺の服を引っ張ってきた。

 何故と思い秋奈の方を見ても俺と目を合わせてこない。


「秋奈ちゃんちょっと」


 結唯さんは手招きで秋奈を呼んだ。


「実際どうなの?」

「どうって?」

「透夜くんとは本当に付き合ってないの?」

「つ、付き合ってないよ!」


 何を話しているのか全く聞こえないが秋奈が慌てているのだけは分かった。


「本当に早く勇気出しなって」

「……分かってるよ」



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