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第14話-3

「…あぁ。とにかく、頼んだ手前、突き放せなくて…。でも帰ったら家の前で待たれてたの見て、ハッキリ言ったんだ。俺が好きなのはモネだからって。駅まで送っていくのに、確かに車に乗せた…」



夜景ドライブも、やっぱり彼女の嘘。


吉良さんはそれ以来、メッセージには対応してないと言って、私に履歴を見せてくれた。

そこには、私のことを教えてくれた感謝の言葉と、これでやり取りは終わりだとハッキリ書いてあった。


美麗ちゃんからはそのあと何通もメッセージが入っていたけど…



「…ブロックした。変なことに巻き込んで、彼女に勘違いさせて…悪かったと思ってる」


「…じゃ、上着を慣れた様子でハンガーに掛けてたのは…」


「それは俺も意味がわからない。頼む、とも言ってないのに、上着を持ち出されてた」



憂さんが納得したような顔で言った。



「もしかして、モネちゃんが来るかもしれないって思ってたのかもな…」



それでわざとベランダに出て、吉良さんと親しそうに振る舞った?




「…私は…」



皆の目が一斉に集まった。



「吉良さんの上着、美麗ちゃんに触られて、嫌だったです…」



「…んふふ…!上着を触られるのも嫌だってよ!吉良…どうする?」



椎名さんに突っつかれて、吉良さんが照れたような顔で私を見下ろす。




「…もう、お前ら帰れよ…!」



私の頬をスルリと撫でながら言った吉良さんに、鬼龍さんが平然と言い返した。




「やだ。酒飲んでだるいし、今日はこのまま雑魚寝。悪いな吉良、死ぬ気で我慢するか、俺ら起こさないようにやって」



聞いててボッと頬に火がつく!



「あぁ…じゃあ…」



唇が近づいて来る気がして、全力で避けた。

こんなにたくさんの人がいる前でキスなんて絶対無理!

近づいてくる美しい顔を、あろうことか両手で制してブロックしてしまう…



「あーあ。吉良かわいそう!」



初めて会った吉良さんの友人たちのお陰で、美麗ちゃんの真相もわかった。

何より意外だったのは、大学での私を知りたいとか、そんな吉良さんの本音…。


私ってもしかして、ちゃんと恋人で、しかも本命だってこと?


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