えー……今回は研究対象をどう扱ってるんだ!
と言われそうですが、主婦之友におけるワタシのチェック具合を晒しておきます。
そんで今は現物は他の研究者に渡してしまったので、それ以前に証拠的に撮っておいた写真を(笑)。
https://plaza.rakuten.co.jp/edogawab/diary/201902180006/
以前ここで書いたように、
>・月から来た男(主婦之友)
戦後刊行せず。(近年出た復刻版は別)
ただしこの話の場合、「雑誌掲載時」と「単行本化した時」の変化が大きいという、「当時の」検閲事情があると思われる。
このおおもとの雑誌掲載と、ワタシが入手した単行本(後続の方に手放してしまったざんすが再版されてるので……)との比較をしていたんですが。
これは5月~10月の記述で無茶苦茶沢山あります。
再版された単行本よりこっちを調べるほうがたぶん面倒な作業だろうので、手放す前に晒しておこうと。
ちなみに単行本は昭和19年の時点で、ルビが無くなってます。
ルビ自体が無くなってしまう時期なんですが、これでいきなり滅茶苦茶全体が硬くなってしまう印象があるんですね。
ちなみにこの話は、
・愛妻(大人しい)が
・妻は夫に自分がこうだから誰か別のひととの間に子供を、と望むが彼は反対する。
・言われたことが胸にありつつ、京都で昔の幼馴染(現代的な女性)と再会して求愛される。
・色んな理屈をつけて彼女を振る。
・その後妻がついに死亡。
・沈みきっている彼を義父(書き換え後は義弟/軍人)に慰められる。仕事に生きようと何となく立ち直る。
・仏印(現在のベトナム)に出向く。そこで世話をしてくれる現地女性と知り合う。
・幼馴染が仕事の関係で仏印で訪ねると、彼は現地女性との間に子供を作っていた。
・その現地妻が病気になって寝込んでいる。
・ちょうど当地に来ていた義弟(←この登場のために前半を書き換えたではないかとも)が軍医だったこともあって診てもらうが、甲斐なく子供を残して亡くなる。
・その頃ちょうど開戦のお知らせ。
・当地で日本のためにがんばる、ということで子供を幼馴染に託して仏印に残る決意をする。
そーいう話。
途中まで書いている時点で開戦となったので、展開を変えたという可能性は大。
吉屋信子は開戦の詔を聞いたあとに勢いでざくざくっと戯曲「十二月八日の
で、珍しく男性が主人公だったわけですが。だから案外スムーズに読めるんですよねえ。奥さんへの愛し方とか、落ち込む辺りとか、雰囲気が似た女性によろけてしまうあたりとか。
女性が主人公の話よりよっぽど心情的には「つくり」が少ないよなあ、と思うわけです。
でまあ、それも調べようかなあと一応下こしらえまではしたんですが、結局その下ごしらえが好きだったので、それを飛ばすのも何か惜しい。
てなことで、その変更がある時点までちょっと載せてみるざんす。
……紙が悪くなってきたこともあったので、できるだけ薄くしてありますが、それでも書き込み!
全体的にあるのは、まず
・「クラス」が「同級」に変更される。
丸がただ付けられているところは、カットされているところだったと思う。「少々」とか。
四角で囲まれた部分もカットされていたかと。
単行本は昭和19年発行だったので、その時の世情に合わない部分がカットとなったのではないかと考えられる。
このあたり、女性達が家庭の話がかなりカットされている。
主人公・瀧川健が病床の妻に甲斐甲斐しいところ、それを羨ましがったり、自分の家庭と比較しているところの描写がオールカット。
お見舞いの際の描写も相当カット。
藁布団を下に、羽根布団の病床→藁布団の病床
贅沢品の描写があかんかったのかと。
テンポを整えるような合いの手的なそうともそうとも、もカット。
葡萄の描写もカット。これもぜいたく品ということだったかも。
ともかく初出と単行本との差異は結構甚だしい→執筆時点の17~18年と、単行本出版の19年の時点では、既に似つかわしい状況が異なっていたということですな。
なので研究するひとは、初出を見て欲しい限り。
この時期の「主婦之友」はどんどんページ数が少なくなっていく時期で、途中で小説の段組も変えて紙を節約しようというのが透けてみえます。
そういう載っている雑誌の雰囲気も「流れとして」見て欲しいんだよな……
少なくとも! 「主婦之友」だけは全部東京の「石川武美記念図書館」にはあるんだから!
ワタシは地方なんで根性で手元に集めたんですが、東京に居る人とかは、そういうの集めるのが少なくともワタシよりは容易だと思うので、そこんとこは眺めてやってみていただきたく思うのですよ。