新聞小説、戦前唯一の「讀賣新聞」に載ったもの。
「女の階級」っていうだけあって、まあ~何というか。
駒尺喜美せんせいは吉屋信子を「隠れフェミニスト」と評してましたな。滅多に取り上げられることのないこの作品も持ってきて。ただ消化不良だ、という感想も述べられてましたが。
むしろワタシは吉屋信子というひとは当時の概念としての「男」が嫌いで、一方で自分が「男になりたかった人」ではないかと疑っておりますので、大概の小説はタテマエで出来ているよな、と思いますが。
ともかく人物関係。
https://plaza.rakuten.co.jp/edogawab/diary/201806200006/
ヒロインは
「暴風雨の薔薇」よろしくやっぱり男を見る目がなかったとしか言いようがない……
この龍二という男は、同棲するようになると、それこそ「縦のものを横にもしない」奴になるんですね。
まあそれで妹の
ちなみに彼女は自分の立場を知ってるので、打算的な結婚に納得しております。
でまあ、「階級」が出てくるのは、この龍二が「転向後」の活動家ってことですな。
で、平等が~とか階級闘争が~と言ってる男が、女に関しては全く無意識に下の者と見てる、というのをブルジョアの津勢子さんのほうが気付くという図式。
これは市川ジュンの「陽の末裔」で夢想型の卯乃さんが気付いたことと一緒ですがね。……この作品に関しては近年見方が変わってきたのでそのうち。
姉のほうが頭良く口も立った、と言うけど結局ブルジョアの負い目があったという感もありで。そのせいで女であることで見下げられてることに気付いていないという皮肉。
頭でっかちではない妹のほうが現実的だったという。だって同棲しながらプラトニックな関係を夢見てたというあたりは姉、甘すぎ。
んで妊娠しちゃって。龍二は手切れ金受け取って逃げて。
最終的にはすったもんだあって改心して自首する彼を「待ってる……」となるんだけど、どうにも~
他の男女もそれぞれ何だかんだありつつ、納まるとこにおさまったり、仕事に生きたり、となるんですが。
ただやっぱりとっちらかってしまった印象は否めないざんすね。