んで。
ご存知の通り、大東亜戦争が終わりました。
そーすると、怒涛のごとく質の悪い紙でも本が出るんですよ。
ちなみに今回紹介する「小市民」は本当にすぐ! 「20年10月発行」なんですが、何とA5・2段組・中綴じ・表紙と本文用紙は同じというシロモノでした。
現在ワタシが所蔵していた資料類はこの人を研究している人々に役立てて~と無期限貸与してるんで手元にはないですが、……さすがに「何処のコピー同人誌?」というくらいの形にはびっくらしましたわ。
その位、表紙用の「ボール紙」が、つてが無いと出ない時期だったのではと。
「戦中に出そうとキープしてたけど出版許可が下りなかったのではないか」の婦人画報くらいのことしなくちゃ無理だったやうです。
で、ここでの書き換えもしくはカット。
比較はその時手元にあった一番古い版、昭和7年の文庫ね。
すっきりまとまりが良い作品だったせいか、色んな版が出てました。
話はまあ、娘の母親が「いいとこ」に嫁がせそうと思うけど、結局若い者同士、中流(の上下あれど)同士、気の合うひとと「小市民的」結婚をする、というはなし。
https://plaza.rakuten.co.jp/edogawab/diary/201805240005/
①。これは「共産党は恐ろしい組織」という意味のことをカット。実際昭和7年の共産党は非合法組織でしたし、やばいこともしてました。それが「恐ろしい」要素がカット。これがまずこの「20年10月発行時」の空気だったかと思います。
②③④は、「アメリカ文化を心情的に否定」しているとこがカットされてます。
⑤は共産党~の流れ。「左翼かぶれの否定」をカットしてます。
⑥は時勢に合わないのか何なのか不明ですな。
なので、20年10月時点では
・共産党
・アメリカ批判
の二つに気を遣っていたと思われ。