「すっ……すごい」
「驚かせてしまって、誠に申し訳ありません」
「ううん、大丈夫だよ。――て、感心してる場合じゃなかった。
「今の技はですね、こいつが魅せた剣技になります」
手に携えた妖刀を眺める
「こいつ?」
「はい。こいつは普通の刀ではなく、手にする者の心を操り破滅に導く妖刀。ひとたび鞘から引き抜けば、憑代が滅ぶまで血肉を求め彷徨い歩きます。そんな恐ろしい刀です」
「心を操る? って言っても、今の
「それは私が異能の力によって、こいつを屈服させているからでしょう」
「異能の力?」
「ええ。先ほども申したように、人が誰しも潜在的に持つ秘められた力。一つの魂に、一つの能力。私に与えられたのは、精神感応と呼ばれた念の能力です」
「なるほど……それがさっき言っていた念の力ってやつね」
「そうです」
異能とは、心に宿す未知なる力。人によっては、様々な現象を発現させることが出来るという。つまり
「ということは……さっきみたいなことが何度でも出来るってことだよね?」
「残念ですが、この力には限度があり無限ではありません。人が食事から栄養を得るように、妖刀も私の念を食らい存在しています」
「もしかして、それって……」
「はい、察しの通りです。念の力が尽きてしまえば、さっきのような技は使えません。加えて言うなれば、私の命も危うい状態に陥ります」
「そんな……じゃあ、どうすれば……」
「方法は一つ。私の念が尽きてしまう前に、奴らを倒すしかありません」
「邪を祓い魔を滅する剣技――、
最初に魅せた技ではなく、別の奥義を繰り出す
「もしかして、倒したの?」
「いえ、まだです。黒焦げにはなりましたが、肉体は存在しています。やはり、何かがおかしい……」
「おかしい? それって、どういう意味?」
「今の技は、最初に魅せた奥義の何倍もの威力。本来ならば、肉体は朽ち果て塵と化していても不思議ではありません。それなのに……消滅するどころか、再び立ち上がろうとしています」
「どれだけ頑丈なのよ」
「もしかしたら……周囲を漂う瘴気が、鬼生体の力を増幅しているのかもしれないですね」
「瘴気?」
「はい、何も見えませんか?」
「えっ? 僕には何も見えないけど?」
「おかしいですね……念の力ならまだしも、瘴気すら感じ取れていないなんて。一体これはどういうことなのでしょうか? 確かに
――するとその時である! 突然、パラサイト・オーガが奇声を上げ襲い掛かってきた。どうやら、妖刀から放たれた電撃によって、肉体を損傷し怒り狂っているようだ。その勢いは凄まじく、瞬く間に間合いを詰められ二人は囲まれてしまう…………。