暫く沈黙した後、意を決したように球体内へ足を踏み入れる
しかし、
「少し驚いたけど、瓦礫に埋もれてたって事は人間じゃなく機械ってことだよね?」
球体内はうっすらと霧が漂うも、目の前の光景は意外にもはっきりとしていた。これにより、
「――えっ⁉」
女性の掌に触れた瞬間、突然にも声を発する
「温かいって……どういうこと?」
周りの光景から判断すれば、人の型をした機械のようにも思える。ところが、触れた感触からは温もりがあり、どうやら生きている様子である。
「状況が呑み込めないけど……もしかして、この人はコールドスリープによって眠らされているの?」
コールドスリープとは、人体を低温状態に保ち冷凍睡眠させる処置のことである。このように特殊な装置を用いることで、数百年もの間眠り続けることが可能とされた。
ただ、これには高額な費用が必要であり、一般人が簡単に行えるものではなかった。ましてや、このような惑星にコールドスリープを行う施設があるとも思えない。
「いや……まてよ、それだと肌から温もりは感じられないはず」
「ひょっとして、この霧は……」
「これって……コールドスリープじゃなく、停滞フィールドだよね!」
つまり目の前の女性は、何かしらの理由で意図的に時間遅延させられていたのである。その証拠に、ポッド内の空間には特殊な装置が配備されており、そこから微弱な電磁波が発せられていた。
「ということは……この女性は機械じゃなくて人間?」
――と同時に、ゆっくり開かれる瞳。やがて徐々に晴れていく霧とともに、女性は虚ろな表情で辺りを見渡す。
「どうして、ここにいるのですか?」
女性は