周囲の残骸を搔き分け、死にもの狂いで光の痕跡をたどる
「やっぱり……どこを探しても何もないや。どうやら僕の勘違いだったようだね」
幾度も残骸の山を確認するも、目的の物はやはり見つからない。そのため、時間をかけても無駄と判断したのだろう。
――そんな時だった。周辺で待機していた
「やばい――、
「――
「駄目だ――、
「でも
「心配するな、落ち合う場所はいつもの街だ。だから安心しろ、俺は決して
「
「――じゃあ
「うん」
心の想いを伝えた
「
残骸頂上から動向を眺める
このように、先ほどから二人が奴らと呼んでいる存在。それは人間に寄生したパラサイトが、脳の思考回路を書き換え自由を奪っていた。本来ならば意識を失った体は動くことはない。ところが、奴らに支配されてしまうと、操り人形のように街を徘徊し彷徨い歩く。
といっても、寄生虫には様々な種が生存しており、ハリガネムシはカマキリなどの昆虫に寄生しては脳を支配する。一方でエキノコックスなどの生物は、キツネや野生動物を宿主として体から栄養分を吸いあげる。これらの種は完全に支配するといった事は出来ないが、人に感染すると死に至らしめる生物ではある。
――特に危険な寄生虫は、
そんな奇妙な生物が突如現れ出したのは、隕石が衝突して間もなくである。その寄生虫は中間宿主の動物を経由して、最終宿主の人間を求め人々を襲う。そうして寄生生物は新たな体に乗り移ると、脳を支配して操ろうとする。
あいにく大衝突によって、体が不自由な人間はそこらじゅうにいた。これにより、中間を経由しなくとも簡単に体が手に入る。ゆえに、パラサイトにとっては選り取り見取りの好都合な惑星であった。
要は、パラサイトに体を乗っ取られてしまうと、人間としての姿も変化する。風貌は額から牛のような角が生え、口からは野獣のような牙が鋭く伸びた。目に瞳孔はなく赤い血のような色をした瞳が虚ろに光る。
この野獣と化した生物を人々は、パラサイト・オーガと呼んだ…………。