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第37話

「ふー…ごめんなさいね?うちの馬鹿が、大丈夫だった?」


「え?あっ、は、はいっ」


 マグナスと名乗った男の人を椅子で殴り倒した、お姉さんが申し訳なさそうに私に声をかけてきた……ちなみに返り血がついててちょっと怖い……いや、だいぶ怖いかも……


「私はラニィっていうの、そこのアホとおなじ冒険者パーティーのメンバーなの……あんなのでもリーダーなのに、まったく……人様に迷惑かけるなんて」


「い、いえ、えっと、だ、大丈夫、でしたから……あ、あの、えっと……」


 どうしよう、初対面の人と話すのは怖いしどうしても言葉が詰まっちゃう……いや、後はあんなバイオレンスな現場を目撃した恐怖で体が震える……


「あ~ごめんね?怖がらせちゃったね?そっちのお兄さんもごめんなさい、うちの馬鹿のせいで」


「いや、気にしなくていい……それより、そいつは生きてるのか?」


「あぁ、あのぐらい日常茶飯事ですから♪」


「ずいぶんと過激な日常だな……」


 うん、毎日のように殴られるってどうなんだろう……しかも椅子で……


「ラニィ!」


 急に新しい声が聞こえてきて、そちらに視線を向けるとすっごくおっきい男の人……2Mはありそう?うん、怖い……


「あ~ザンド?それに、カルナも」


「ラニィちゃん、すごい音したけどどうしたの?」


 おっきな男の人の後ろから出てきた女性がいました……男の人の後ろにいて気づきませんでした……うん、こっちの女の人も綺麗な人です……茶髪のストレートロング……恰好からして神官さんかな?


「あぁ、こっちのお嬢さんにうちのアホがナンパしたの、だから粛清したんだよ」


「あぁ、いつものね……」


「はぁ、困ったものだな……」


「えっと、あなたね?私はカルナっていうの、そこで頭押さえてる男と同じ赤い子猫っていうパーティーのメンバーよ」


「あっ、はい……え、えっと、あ、アンナっていいます」


「アンナちゃんね?うん、可愛いわね……なるほど、これならマグナスがナンパしてもおかしくないかしら」


「そうよねぇ、私もマグナスみてから見たけどびっくりしたよ……こんな綺麗な子初めてみた」


「あぅ、え、えっと、あ、りがとう、ございます///」


 私の容姿はうん、綺麗なのは知ってる客観的に見ても……でも、こうしてはっきり言われるのは恥ずかしいなぁ///


「えっと、あなたがアンナちゃんのお仲間さん?」


「あぁ、仲間、まぁ護衛をしている」


「あっ、そっかぁ、これだけ綺麗な子だし、多分、そういうことだよねぇ……ごめんなさいね、うちの馬鹿が、なんならもっと殴る?死なない程度ならいくら殴ってもいいよ?」


「いや、遠慮しておくよ」


「そうですかぁ……」


 なんでラニィさんは残念そうなんだろう?殴らせたいのかな……こ、怖い


「ぐっ、くぅ……痛てぇ……ラニィ!てめぇ椅子はやりすぎだろっ!!」


「あっ、復活した……杖のほうがよかった?」


「いや、それはも痛いから!じゃなくてっ!殴るのを止めろって言ってんだよっ!」


「あんたがナンパなんてしなければこんなことにはならないわよ」


「うるせぇ!美しい女性をみたらナンパしないと失礼だろうがっ」


「その考えが失礼よっ!」


「はぁ……いやぁ、すまなかった驚かせてしまったね、美しいお嬢さん!ぜひ、君のその名前を教えてもらいたいっ、あっ俺はマグナスっ!赤い子猫っていうパーティーのリーダーさっ」


「ヒッ」


 私は、急いで旅人様の後ろに隠れます……こういうタイプの人は苦手、嫌い……うん、近づかないでほしい……


「ほら、アンナちゃんに嫌われちゃったじゃない」


「ほぉ、アンナさんっていうのかっ!美しい名前だっ」


「あんたは、いい加減黙れっ!」


「ちょっ!ぐぁああっ!!?」


 ラニィさんは杖でマグナスさんを殴った……痛そう……


「さって、迷惑かけたお詫びになにかしたいんだけど……なにか困ってることはないかな?あっ、安心してマグナスはしっかり”私が”面倒みるから」


「え、えっと……」


「そうだな、お前たちはここを拠点にしてるパーティーでいいのか?」


「えぇ、そうよ、ここで活動して大体5年になるかなぁ?」


「なるほど……俺たちは山を抜けて魔法国に行きたいと思ってる……ただ、俺たちだけだと通行できないといわれてしまってな、どこかに商隊の護衛依頼がないかとおもって見に来たんだ」


「あぁ、なるほどー!そうですね、最近はなんか魔物が活発化してるっていうか……これまで見たことない魔物まで確認されてるので……んー商隊の護衛依頼かぁ……カルナ、なにかあったっけ?」


「そうね……丁度私達が受けてる依頼に追加できないか聞いてみましょうか?」


「護衛依頼を受けてるのか?」


「はい、明日出立なんですけど、良ければ確認をとりますがいかがですか?」


「そうだな……アンナ、それでいいか?」


「ふぇっ、え、えっと……お、おまかせ、します」


「わかった、じゃあすまないが人員2人追加してもらえるか確認をしてくれるか?俺たちは報酬はいらないから」


「はーい、じゃあ確認してきますね……えっと、どこに泊まってますか?」


「あぁ……それなら」


 旅人様は、赤い子猫の人達に色々話しています……ちなみに、マグナスさんは復活するたびにこっちに来ようとしたので、今は縛られてラニィさんの椅子になっています……ドン引きです……




「じゃあ、後で宿に報告にいきますね」


「あぁ、頼む。行くぞアンナ」


「はいっ!」


 私は旅人様と一緒にギルドを後にしました……縛られてるのにずっと私も見てくるマグナスさんが怖くて怖くて……あんな他の人たちはいいけど、あの人と一緒に旅をするのかぁ……嫌だなぁ……


「大丈夫か?」


「は、はいっ」


「まぁ、急いで山を抜けるためだ、我慢してくれ」


「わ、わかってます……た、ただ、あのマグナスって人だけはちょっと……」


「あぁ、あれに関しては近づけないから大丈夫だ」


「は、はい」


 そのあとは宿に戻りました……それからは宿でまった……それから結構日が暮れてきたころ、旅人様が宿屋の女の子に呼ばれてでていきました。



 それから少しすると、すぐに旅人様が帰ってきました。


「あっ、おかえりなさい」


「あぁ、カペラと遊んでたのか」


「はいっ、中々外に出してあげられないので」


「そうか……とりあえず、赤い子猫側から連絡がきた」


「えっと、どうだったんでしょうか?」


「あぁ、商隊側も無料で護衛が増えるならと歓迎してくれるみたいだな、ただその分食料なんかは全部こっち持ちになるが」


「なるほど……じゃあ、明日から商隊護衛に参加するんですね」


 旅人様が頷く……これは魔法王国に行くために必要なこと……マグナスさんは気になるけど……うん、がんばろう……


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