はいっ!ご飯を食べた後は山を越えるために色々買い出しです……せっかくの軍馬がいるので馬車を購入し、旅の必要な荷物も買い足し馬車に詰みこんで準備完了!これで後は山を越えれば、目的地である魔法王国にいくことができますっ!
「まぁ、こんなとこか」
「そうですねぇ……お手伝いできなくてすいません……」
「仕方ないさ、無理されても困るしな」
「はい……」
旅人様が買った荷物……少しでももちたいところでしたが、私の脆弱な筋力ではとてもじゃないが無理でした……
「あんたら、これから山を抜けるのかい?」
「あぁ、そうですね」
「んー2人でか?」
「えぇ」
「そりゃ、悪いことは言わねぇ、やめておけ」
「え?ど、どうしてでしょう?」
「そりゃ、火山の魔物は強いしな、それに最近、強い魔物がでてきたりやたらと動きが活発でな……山を抜けるにしてもどこかの商隊に混ざっていくのをおすすめするぞ?というか、それぐらいしないと抜けるのは無理だろうなぁ……」
「そうですか……ありがとうございます」
「まぁ、行ってみてもいいけど、多分山道に入るところで止められるぞ」
「あぁ、わかった、情報感謝する」
「通れないんでしょうか?」
「そうだな……まぁ、一度山に行ってみるか?」
「はい、がんばりますっ!」
「まぁ、試しにいくだけだ、気を張りすぎるな」
ということで私達は山道の入口へたどり着いたわけですが……そこには人が並んでいました……
「えっと、多いですね?」
「そうだな」
旅人様は近くの人に話を聞きにいきました……いいなぁ、あんな風に普通に話せるコミュ力……私には絶対無理だ……そんなことを考えていると、旅人様が戻ってきました。
「どうでしたか?」
「あぁ、検問があるみたいだな」
「検問ですか?あっ、も、もしかして……」
もしかしたら私のことがすでに伝わっているんじゃ……それで検問を敷いて私を捕まえようとしてるんじゃ……そんな不安を覚えます……
「大丈夫だ、アンナを探してるわけじゃない」
「え?あっ、そ、そうなんですか?」
「あぁ、さっき魔物が活発って話があっただろ?それでどうやら冒険者ギルドが山道に入る許可証を発行してるらしい……もってない場合はどうあっても通してもらえないらしい……後はやはり商隊が多いからな、違法品をもっていないかの確認もしてるから時間がかかってるみたいだな」
「そうなねすね……えっと、そうすると私達も通れないってことですよね?」
「そうだな、許可証ももってないし間違いなく通してもらえないだろう」
「どうしましょう?」
「そうだな……馬車がある以上は目を盗んで忍び込むのは不可能だしな……どちらにせよ一度冒険者ギルドにいって許可証が発行してもらえるか確認してみよう」
「は、はいっ」
ということで、いざ冒険者ギルドです……ギルドの中に入ると強面の人達がいっぱい……私は急いで旅人様の後ろに隠れながらついていきます……
「すまない、ちょっちいいだろうか?」
「はい、マグラーネ冒険者ギルドへようこそっ、今日はどういったご用件でしょうか?」
「山を越えたいんだが、許可証を発行してもらいたい」
「許可証の発行ですね……えっと、どこかの商隊と契約していますか?」
「いや、俺と彼女だけだ」
「んー申し訳ありません、それだと許可証を発行することはできません」
「理由を聞いても?」
「はい、現在火山に出没する魔物の増加、強力な個体の発生といった異常事態が発生しています……現状調査中ではありますが……危険性を考慮して冒険者ですと最低でも6人以上であり、なおかつ商隊の護衛任務を行っている方に限定されています」
「商隊の移動は流通を滞らせないためか……だからそれに同行する冒険者以外はお断りと?」
「そうですね、現状は警戒態勢が解除されるまでは申し訳ありませんが……狩りにはいるにしても2合目までに制限されています」
「そうか……わかった、少し話し合ってみるよ」
「えぇ、そうしてください」
さて、受付嬢さんと話しを終えた旅人様と私はギルドの端の方に移動することにしました。
「さて、現状無理に通るのは悪手だし、やはり商隊護衛に参加するほうがいいだろうな」
「護衛に参加ですか……」
「あぁ、まぁ俺の場合は二重契約になるが……仕方ないだろう……ただ問題は…」
「え?」
「アンナ……長期間知らない人間達と一緒に活動することになるが、大丈夫か?」
「あ……そ、それは……」
旅人様のいいたことがわかりました……なんだかんだで前の街なんかでは必死でしたしどうにか交流はできていました……お話もシスターたちだけで街の人たちとの交流というのは最低限でしたし、なにかあっても旅人様が対応してくれました……ですが、商隊に護衛に参加するとなると商人の人たちに護衛の冒険者の人たち……そういった方たちと1カ月以上は一緒することになるそうです……
「わ、わたしは……」
根本的に人が苦手、コミュ障な私にとって、長期間知らない人と関わるというのはそれだけでかなりのストレスだったりします……正直言えば逃げ出したいところですが……ちなみに、ここを越えないルートだと王国側の追っ手に見つかる可能性が高くなるそうで……今から移動だとすでに指名手配されててもおかしくないそうです……
そうですよね、これまでリードを保っていたところを引き返せばその分、時間を無駄にしてしまい、当然正規ルートで情報をばらまいていいるであろう王国側に有利になるのは間違いありません……この街にだっていつ情報が回ってくるかわからないほどです……
「なんて美しい人なんだっ!」
「ふぇ?」
悩んでる私にいきなり聞こえてきた声……びっくりして振り返るとそこには私より年上の赤髪の男性が立っていました……
「え?え?」
「いやぁ、驚かせてすいません、お嬢さん♪ 俺はマグナスっ!あぁ、あなたの用な美しい女性にこんなところで会えるなんてっ!良ければ一緒にお茶でもいかがですか?」
「ヒッ」
いきなり現れた男性にパニック寸前の私……さらに男性は私の手を掴もうと手を伸ばしてきました……
「おい、うちの連れに手を出すのはやめてくれ」
「た、旅人様っ!」
あぁ、何時も頼りになる彼が男性の手を掴み私を後ろに隠してくれました。
「なんだお前は?」
「それはこっちの台詞だな」
「お前みたいなのにその美しいお嬢さんは似合わねぇっ!俺がぜひともぉおおお!!!?」
勢いよく話してた男性が飛びました……いえ、比喩でも何でもなく物理的に、横に吹っ飛んだのです……
「馬鹿マグナスっ!!なに初対面の人にまた迷惑かけてるのよっ!!!」
ショートボブの青い髪をした綺麗なお姉さんが赤髪の男性を椅子で殴り飛ばしたのです……
「ちょ、まてっ!ラニィ!椅子はやべぇってっ!ちょっ、まってっ!話しをっ、ぎゃぁああああああああ!!!」
これはなんでしょうか……私達の目の前では椅子で殴る女性と殴られる男性……急にバイオレンスな光景が繰り広げられるのでした……