さぁ、どうすればいいでしょう……私はパニックです………旅人様が手に入れた宝石を、宝石を……カペラがパクッと食べて……美味しそうに……あぁあああ!!どうすれば、どうすればいいのっ!?弁償、でも私にお金はないっ!!!お金の管理は全部旅人様だもんっ!
「ふむ」
「あ、あのっ、え、えっと……」
「いや、気にしなくていいぞ?」
「ふぇ?で、でも、宝石がっ」
「あぁ、これは元々カペラ用に用意したものだから問題ない」
「どういうことですか???」
「ん?あぁ、そうか……カペラ、カーバンクルっていう存在は宝石を好んで食べるん性質があるんだ」
「ふぇ?宝石を食べる……確かに食べましたね」
「あぁ、種族としての特性だからな、食べたって問題ない……まぁ、宝石はあくまで嗜好品らしいけどな、だから食べても食べなくてもどっちでもいいが、食べれないとストレスが少し溜まるらしい」
「そう、なんですね……じゃ、じゃあ、カペラに食べさせるために……」
「あぁ、まぁ、そうだな……」
旅人様がカペラに手を伸ばします……すると……
「きゅっ!」カプッ
「かぺらぁあああああああああああ!!!」
「きゅー!」
宝石をくれた旅人様をまた齧ったのです……この子はどうして……うぅ……
「いや、まぁ……餌付けするにしても根気よくしないと流石に懐いてくれないだろうしな……」
「ごめんなさい……」
「いいさ、さて飯も食ったし、休むか」
「はい……カペラ―しっかりお礼いいなさいっ」
「きゅっ!」
「もーそっぽむかないのー!」
「まぁ、いつか撫でれるように仲良くなれればいいさ……まだまだ先は通そうだけどな」
「はい……ごめんなさい」
「いいさ、ほら、寝ておけ」
「あの、さ、三時間ぐらいで起こしてくださいっ!わ、私が見張りを変わりますからっ」
「……んー」
「お願いしますっ!わ、私も見張りぐらいはできますからっ」
「そうか……」
「だ、だって、また火山まで旅人様がまともに休めないじゃないですかっ!そ、その、護衛の旅人様が倒れちゃったら私もその、いっぱい困りますし……」
「わかった、じゃあ、頼むわ」
「い、いいんですか?」
「あぁ、ただし!少しでも異変を感じたらたとえ何もないとしても俺を起こせ、いいな?」
「わ、わかりましたっ」
旅人様に挨拶して私とカペラは眠りにつきました……ふふふ/// 私の言葉を聞いてくれた、嬉しいなぁ……彼のためにもがんばって……見張り…を……スヤァ
「お…ろ……起きろっ」
「ふぁっ!?ふぇ……あ、お、おはようございましゅ」
「いや、見張り、するんだろ?」
「あっ!そ、そうですねっ!が、がんばりますっ」
「あぁ……じゃあ、少し頼む、何かあったら、いや、少しでもおかしいと思ったら起こせよ?」
「わ、わかってます!任せてくださいっ」
彼は横になると直ぐに眠ってしまいました……やっぱりすごく疲れてたんだよね……街でもずっと私がしたことのために奔走してくれてたし……よしっ!とにかく頑張って見張りをやり切ろうっ!
「きゅ~」
「カペラ、あなたも起きたの?」
「きゅっ」
「そっかぁ、じゃあ一緒に見張りしようね」
「きゅいっ」
カペラを膝に乗せてそのふわふわの体毛を撫でながら火の番をする……
「わぁ……綺麗……」
空を見れば満点の星空……そういえば、こんな風に星を見ているなんて転生前も、転生してからも……初めてかもしれない……
「ねぇ、カペラ」
「きゅ?」
「私、頑張るからね……絶対不幸になんてなってやらない……絶対幸せになってやる……私を捨てたあいつらの好きになんてさせてやらない……そう……
「私は、絶対、幸せになる……」
「きゅいっ」
「えへへ、カペラぁ、カペラも一緒に幸せになろうねぇ」
「きゅいぃ♪」
さて、気合を入れて見張りですっ、定期的に小枝をくべて火を維持して……維持して……いや、星空綺麗だけど夜の暗闇めっちゃ怖い……
「ひぅっ!」
「きゅっ!」
「ご、ごめん……風の音かぁ……び、敏感になりすぎてたね……あはは」
「きゅぅ~」
見張りってこんな怖いんだぁ……いや、私はカペラがいるからまだマシなのかも……こんなのを普段1人でずっとしてくれてるんだよねぇ……はぁ、本当に感謝……
そのあとも風の音に驚いたり、魔物がいないか警戒したり、カペラをもふもふして心を落ち着けたりしながら、時間を潰しました……
「おい」
「うひゃっ!!」
「あまり大声をだすな」
「す、すいません、あ、あれ?お、起きたんですか??」
「あぁ、大体寝れたし、いい加減疲れただろ?」
「え?い、いえ、座ってただけですし……」
「身体に力が入ってる……警戒しすぎてるな、緊張でこわばってるぞ」
「あっ」
旅人様に言われた通り……怖くてずっと気を張ってた……それで体に力がはいっちゃってるのは本当だ……
「まだ暗いしな、寝ておけ」
「え、でも」
「いいから、しっかりと時間をとってくれただけで助かったしな、今後も頼む」
「あっ、は、はいっ!」
彼にお礼を言って再び眠りにつく……すると自然と眠くなる……多分、緊張した疲れもあるけど、安心感が違うんだ……ずっと私を守ってくれてる彼がいるから……
「きゅぅ~」
「カペラ、一緒に寝ようね」
「きゅっ」
そして、ゆっくりと眠った私は、朝になるまで眠るのでした……