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第26話

「すまない、俺たちは旅ののものだ、なにがあった?」


「あぁ、旅の方ですか……それなら直ぐにこの街から出たほうがいいですね」


 どういうことでしょうか?直ぐに街を……やっぱり倒れてる人達になにか関係するのでしょうか?


「今この街では流行り病によって、この通りです……街でまともに動ける人はほとんどいません……」


「え、じゃ、じゃ……あっ、えっと……」


「あなたが1人でこの病院を診ているのですか?」


「いえ、私はあくまで場所の提供と少しのお世話だけです……お医者様が必死に診て下さっていますが、原因もわからず治療法もわからず……治癒魔法は病気に効きませんから……あなた達も病気にかかる前に街を出たほうがいいです」


「そうか、情報感謝する」


「え?た、旅人様?」


「今聞いた通りだ、病気を貰う前にさっさとこの街を出たほうがいい」


「で、でも……」


「なんだ?言いたいことがあるならはっきり言ってくれていいぞ?」


「あぅ……その、わ、私、私に、治療させてください……」


「はぁ……正直、それを認めたくはない」


「うぅ……で、でも、治せるかもしれないのに、その、放置なんて……」


「お前は自分が置かれてる状況をもっと理解してほしいんだがな」


「ごめんなさい……」


「はぁ……わかった……好きにしろ」


「あっ、ありがとうございますっ」


 私は急いで先ほどのシスターさんの元に向かいました……



「あら?あなた、まだいたの?」


「ご、ごめんなさい……えっと、わ、私、私なら治療、できるかも、しれなくて……」


「え?それは本当に言ってるの?」


「は、はいっ!お願いですっ、やらせてくださいっ」


「……そうね、わかったはやってみてくれる?」


「は、はいっ」


「そういえば、自己紹介がまだだったわね、私はここスライゼンの街のシスターでクレサといいますよろしくね」


 クレサさんは20代前半?ぐらいの若いシスターさんです……緑色のセミロングの髪とおなじように緑の瞳が特徴的な人……こうして特徴的な髪色の人にあるとファンタジー世界なんだなって改めて思います……まぁ、魔物をあれだけ見て今更ですが…


「あっ、わ、私は、えっと、アン……ナ、アンナですっ!」


「そう、アンナちゃんね……じゃあ、やってみてくれる?」


「はっ、はいっ」


 私は倒れている病人の近くにいくと、自然と頭に魔法名が浮かんできました……


「よ、よしっ……いきますっ《高位浄化》」


 魔法を発動すると病人を包み込み、光が消えると、苦しそうにしていた彼の表情は穏やかなモノになっていました。


「せ、成功?かな」


「診せてください……脈拍も安定してる……それに、うん、呼吸も大丈夫……すごい熱も下がってるし、発心もない……治ってますっ!」


「よかったぁ……はぁ……あっ、つ、次の人も治しますね」


「え、えぇ、お願いします」


 そのあとは時間も忘れてとにかく治療に専念しました……と、言っても魔力には限界があります……どうしても休み休みになってしまいますが、少しずつ病気が治った人が増えてきました。


「《高位浄化》」


「そこまでだ」


「あっ、旅人様……」


「魔力量がいくら多いとはいえ、流石に使いすぎだ、今日はもう休め」


「え?でも」


「周りを見ろ、既に暗くなってきてる……これ以上は身体に影響が出るから許可はできない」


「うっ……わかりました……」



 夜になり、旅人様が焚きだしをしてくれました……治った人たちも料理を食べて安心しています……


「アンナさん」


「あっ、クレサさん」


「ありがとうございます……あなたのお陰で希望が見えました」


「い、いえ……私は出来ることをしただけで……」


「いいえ、あなたがいなければこの街は終わっていたでしょうね……領主様もお手上げ状態でした……」


「そう、ですか……で、でも助けられてよかったです……その、まだ倒れてる人は多いですが」


「仕方ありませんよ、大体1人で街の人を全員治すなんて普通は無理です……」


「それは、そうかもしれませんけど……で、でも出来るだけ頑張りますから……」


「ありがとうございます……あなたはまるで……」


「え?」


「いえ、とにかくご迷惑をおかけしますが、病人をお願いします」


「は、はいっ」


「おい、飯食べておけ」


「あっ、わかりましたっ」


「キュッ!」


「カペラ、ご飯食べようね」


「きゅ~」


「あれって……」


「シスタークレサ、あなたもご飯を食べて休んだ方がいい」


「あっ、はいっ、わかりました。ありがとうございます」


「悪いですが、今見たのは内緒でお願いします」


「あっ、それってやっぱり……」


「えぇ」


「わかりました……そうですね」


 なにやらお二人が話しをしてますが……私としては炊き出しで出されたお料理に夢中ですっ!まさか、まさかここで食べれるなんてっ!シチュー!!!シチューです、シチュー!美味しい♪


「アンナ」


「ふぁっ?んぐっ、な、なんですか?」


「カペラを下手に見せないようにしろ」


「あっ、ご、ごめんなさい……で、でもカペラもご飯食べないとですし」


「あぁ、教会の一室を借りたから、そこで食べるといい……あと、そのまま休め」


「わかりました……ありがとうございます」


「あぁ」


「あ、あの、このお料理って……」


「ん?あぁ、街で探した調味料でつくれたんでな、クリームシチューだ、美味いか?」


「はっ、はいっ!これ大好物なんですっ」


「へぇ……」


 旅人様が何か思ったのか、考え事を初めてしまいましたが、私はお料理を持って借りた部屋でカペラとご飯を食べてからゆっくり休むことができました…


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