「ただいま戻りました……」
「きゅうっ!」
「カペラぁ~~~うぅ……緊張しすぎて死ぬかとおもったよぉ……」
「うきゅぅ~」
あぁ、カペラのモフモフいに癒される……はっ!?そういえば、旅人様はっ……
「寝てる?」
「きゅぅ」
なるべく音をたてないようにそろりそろりと近づく……彼はぐっすりと眠っている……
「寝顔、初めてみたかも……」
いつもいつも私のために無理をさせてる……森を抜ける間だってまともに休めなくて、ずっと警戒して…普段なら私がこんな距離に近づいたら直ぐに起きちゃうのに、起きないってことは、やっぱりそれだけ疲れてるってことだよね……
「ごめんなさい……いつもいつ、ありがとうございます」
「きゅぅ」
「カペラ……起こしちゃダメだから静かに待とうね?」
「きゅっ」
それから私はカペラを転がしたり、モフモフしたり、こちょこちょしたり……とにかくカペラと戯れながら時間を潰しました……
「なにしてるんだ?」
「ふぁっ!!!?た、旅人様おはようございますっ」
「あぁ、んー結構寝たな……」
「あっ、ゆっくり休めましたか?」
「あぁ、久しぶりにゆっくり寝れたよ」
「良かったです」
「さて……んー食事の準備するわ……飯食いながらでいいから情報が集まったんなら教えてくれ」
「わ、わかりましたっ」
さーがんばるぞぉ……私が必死におじいちゃん、おばあちゃんから得た情報をっ!
「ほれ、料理できたぞ」
「わぁ!美味しそう♪」
「「いただきます」」
「きゅー!」
さて、今日のお料理はお鍋ですお鍋っ!美味しいっ!!!この世界ってお鍋あるんですねっ、んー!美味しい♪
「それで?なにか聞けたのか」
「ふぁっ!そうですね……あの、えっと……お、おじいちゃん、おばあちゃんに聞いたんですけど……」
「あぁ」
「こ、ここから3日ほど西に進んだところに大き目の街があるそうなんです。そこならいろいろ売ってるよっておしえてくれましたっ」
「なるほどな……それで?」
「え……」
「……なるほどな……じゃあ、次の目的地はその街にしようか」
「はい……」
この程度の情報だけしか得られなかった私……うぅ……もっと色々聞ければよかったけど、緊張しすぎて無理だった……なんなら泣きそうな私に、おじいちゃん、おばあちゃんがお野菜とかくれるしまつ……
「まぁ、お前にしてはよくやったほうだ」
「ありがとう、ございます……」
「まぁ、今日はこのまま休んで、明日の朝一街へ向かおう」
「はいっ」
「きゅっ!」
ちなみにこの後、再びカペラと交流を試みた旅人様に、カペラは噛みつくのでした……この子はいつになったら懐いてくれるのかなぁ……
「ありがとうございました」
「あっ、ありがとうございましゅっ////」
「いえいえ、久しぶりに若い人に触れられて嬉しかったよぉ」
「うむうむ、またいつでも来ておくれ」
「ありがとうございました~」
さて、私達は村の人に見送られ、教えてもらった街へ向かうことになりました。
「さて3日ほど移動することになるが……大丈夫か?」
「だ、大丈夫です……がんばりますっ」
さて、私達はがんばって移動することになりました……でも、そう……1時間ほど頑張りました、頑張りましたよ?私で1時間あるくとは快挙ですっ!でも、私は倒れました……足はもうプルプルで動けません……そして、いつもの用に旅人様に背負われて移動することになったのです……
「いつもいつも、ごめんなさい……」
「気にするな……逆によく1時間歩けたものだ。少しずつ体力がついてきたのかもな」
「そ、そうだといいんですけど……結局こうして背負って貰ってるわけですし……」
「まぁ、気にするな。俺ももう慣れた」
「うぅ……」
結局そのあとは背負ってもらったまま、何事も無いように進みました……いえ、何事かはありましたね……途中で盗賊が出てきましたが、旅人様は私を背負ったまま皆殺しにしてしまいました……そして、そんな皆殺しの光景をみてもまったく何も感じなくなった私……本当になれって恐ろしいです……
さて、それから休みながら進むこと3日と少し……私達は街に着いたのですが……
「なんだか、静か?ですね」
「そうだな……門兵もいないし……ずいぶんと不用心というか……」
「そう、ですね……あっ、カペラ、隠れてて?」
「きゅっ!」
カペラは私の外套の中にもぐりこんで隠れます……それから私も旅人様から降りて、一緒に街の中に入ってみました……ただ、実際おかしいのです……門兵がいないのもおかしいですし、中に入っても人通りがまったくない……とにかく静か……お店なんかも全然開いてません……まるで街そのものから人がいなくなったような?
「どういうことでしょうか?」
「さて……スタンピードでも起きたとかなら人がいないのも、まぁ、納得するが、被害は一切ないし、魔物もみてないからな……とりあえず少し移動して確認してみよう」
「はいっ」
それから、街中を歩くこと数十分ほど……途中でようやく人を見つけることができましたが、なんというかすごく疲れ果ててるようで……旅人様が声をかけてお話を聞いたのですが……
「流行り病ですか?」
「らしいな……どうもかなり蔓延してるらしい……正直俺たちも気を付けたほうがいいな、まぁ、正直ここだとまともな補給もできないし、さっさと次の街を目指したほうがいいだろうな」
「え?そ、そうですね……」
「どうかしたか?」
「い、いえ……えっと、あれ?あそこに人がいっぱいいますっ」
「ん?あぁ、そうだな……あそこは、教会か?」
「えっと、行ってみていいですか?」
「ふぅ……あまり首をつっこんでほしくないんだがな」
「お願いします」
「はぁ……わかったよ」
旅人様にお願いした私は、その教会へ近づいていきます……あたりを見れば、苦しそうな、顔を青くした人達が大勢います……ベッドが足りてないのでしょう、地面にも大勢の人が寝かされています……
「あの、どちら様でしょうか?今忙しくて……」
私に声をかけてきたのは、この教会のシスターさんでしょうか?疲れた表情の彼女は私達を見て溜息をついていました……