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第25話

「ただいま戻りました……」


「きゅうっ!」


「カペラぁ~~~うぅ……緊張しすぎて死ぬかとおもったよぉ……」


「うきゅぅ~」


 あぁ、カペラのモフモフいに癒される……はっ!?そういえば、旅人様はっ……


「寝てる?」


「きゅぅ」


 なるべく音をたてないようにそろりそろりと近づく……彼はぐっすりと眠っている……


「寝顔、初めてみたかも……」


 いつもいつも私のために無理をさせてる……森を抜ける間だってまともに休めなくて、ずっと警戒して…普段なら私がこんな距離に近づいたら直ぐに起きちゃうのに、起きないってことは、やっぱりそれだけ疲れてるってことだよね……


「ごめんなさい……いつもいつ、ありがとうございます」


「きゅぅ」


「カペラ……起こしちゃダメだから静かに待とうね?」


「きゅっ」


 それから私はカペラを転がしたり、モフモフしたり、こちょこちょしたり……とにかくカペラと戯れながら時間を潰しました……


「なにしてるんだ?」


「ふぁっ!!!?た、旅人様おはようございますっ」


「あぁ、んー結構寝たな……」


「あっ、ゆっくり休めましたか?」


「あぁ、久しぶりにゆっくり寝れたよ」


「良かったです」


「さて……んー食事の準備するわ……飯食いながらでいいから情報が集まったんなら教えてくれ」


「わ、わかりましたっ」


 さーがんばるぞぉ……私が必死におじいちゃん、おばあちゃんから得た情報をっ!


「ほれ、料理できたぞ」


「わぁ!美味しそう♪」


「「いただきます」」


「きゅー!」


 さて、今日のお料理はお鍋ですお鍋っ!美味しいっ!!!この世界ってお鍋あるんですねっ、んー!美味しい♪


「それで?なにか聞けたのか」


「ふぁっ!そうですね……あの、えっと……お、おじいちゃん、おばあちゃんに聞いたんですけど……」


「あぁ」


「こ、ここから3日ほど西に進んだところに大き目の街があるそうなんです。そこならいろいろ売ってるよっておしえてくれましたっ」


「なるほどな……それで?」


「え……」


「……なるほどな……じゃあ、次の目的地はその街にしようか」


「はい……」


 この程度の情報だけしか得られなかった私……うぅ……もっと色々聞ければよかったけど、緊張しすぎて無理だった……なんなら泣きそうな私に、おじいちゃん、おばあちゃんがお野菜とかくれるしまつ……


「まぁ、お前にしてはよくやったほうだ」


「ありがとう、ございます……」


「まぁ、今日はこのまま休んで、明日の朝一街へ向かおう」


「はいっ」

「きゅっ!」


 ちなみにこの後、再びカペラと交流を試みた旅人様に、カペラは噛みつくのでした……この子はいつになったら懐いてくれるのかなぁ……



「ありがとうございました」

「あっ、ありがとうございましゅっ////」


「いえいえ、久しぶりに若い人に触れられて嬉しかったよぉ」


「うむうむ、またいつでも来ておくれ」


「ありがとうございました~」


 さて、私達は村の人に見送られ、教えてもらった街へ向かうことになりました。


「さて3日ほど移動することになるが……大丈夫か?」


「だ、大丈夫です……がんばりますっ」


 さて、私達はがんばって移動することになりました……でも、そう……1時間ほど頑張りました、頑張りましたよ?私で1時間あるくとは快挙ですっ!でも、私は倒れました……足はもうプルプルで動けません……そして、いつもの用に旅人様に背負われて移動することになったのです……


「いつもいつも、ごめんなさい……」


「気にするな……逆によく1時間歩けたものだ。少しずつ体力がついてきたのかもな」


「そ、そうだといいんですけど……結局こうして背負って貰ってるわけですし……」


「まぁ、気にするな。俺ももう慣れた」


「うぅ……」


 結局そのあとは背負ってもらったまま、何事も無いように進みました……いえ、何事かはありましたね……途中で盗賊が出てきましたが、旅人様は私を背負ったまま皆殺しにしてしまいました……そして、そんな皆殺しの光景をみてもまったく何も感じなくなった私……本当になれって恐ろしいです……



 さて、それから休みながら進むこと3日と少し……私達は街に着いたのですが……


「なんだか、静か?ですね」


「そうだな……門兵もいないし……ずいぶんと不用心というか……」


「そう、ですね……あっ、カペラ、隠れてて?」


「きゅっ!」


 カペラは私の外套の中にもぐりこんで隠れます……それから私も旅人様から降りて、一緒に街の中に入ってみました……ただ、実際おかしいのです……門兵がいないのもおかしいですし、中に入っても人通りがまったくない……とにかく静か……お店なんかも全然開いてません……まるで街そのものから人がいなくなったような?


「どういうことでしょうか?」


「さて……スタンピードでも起きたとかなら人がいないのも、まぁ、納得するが、被害は一切ないし、魔物もみてないからな……とりあえず少し移動して確認してみよう」


「はいっ」


 それから、街中を歩くこと数十分ほど……途中でようやく人を見つけることができましたが、なんというかすごく疲れ果ててるようで……旅人様が声をかけてお話を聞いたのですが……


「流行り病ですか?」


「らしいな……どうもかなり蔓延してるらしい……正直俺たちも気を付けたほうがいいな、まぁ、正直ここだとまともな補給もできないし、さっさと次の街を目指したほうがいいだろうな」


「え?そ、そうですね……」


「どうかしたか?」


「い、いえ……えっと、あれ?あそこに人がいっぱいいますっ」


「ん?あぁ、そうだな……あそこは、教会か?」


「えっと、行ってみていいですか?」


「ふぅ……あまり首をつっこんでほしくないんだがな」


「お願いします」


「はぁ……わかったよ」


 旅人様にお願いした私は、その教会へ近づいていきます……あたりを見れば、苦しそうな、顔を青くした人達が大勢います……ベッドが足りてないのでしょう、地面にも大勢の人が寝かされています……


「あの、どちら様でしょうか?今忙しくて……」


 私に声をかけてきたのは、この教会のシスターさんでしょうか?疲れた表情の彼女は私達を見て溜息をついていました……



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