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第23話

「あうぅ……」


「朝から歩くのをわかっててなんで筋トレを倒れるまでやるんだ」


「ご、ごめんなさい……」


 結局、昨日はご飯を食べさせてもらう……ちょっと役得でしたが、ほぼ介護のような感じでした……そのまま眠り、朝となり私達はついに森を抜けることになったのです。


「じゃあ、行くぞ。それかもう背負うか?」


「い、いえ、大丈夫ですっ」


 私はまず、お馬さんの所に行きます……


「ごめんね、やっぱり連れていけないみたい……ここまでありがとうね」


 お馬さん達は私の言葉がわかるのかどこか寂しそうにしています……私も寂しいです……でも、危ない森の中をお馬さんたちを連れていくことは出来ません……この村で暮らすことになりました。


「じゃあ、すまないが馬のことは頼む」


「あぁ、中々いい馬だし、しっかりと育てるよ」


「あぁ……アンナ!行くぞっ」


「はっ、はいっ!じゃあ、元気でね」


 私は、お馬さんを預かってくれる村の人に頭を下げ、旅人様の後を追いかけます……



「姉ちゃんっ!」


「あれ?アレン君っ!それにハレナさんも……もう歩いて大丈夫なんですか?」


「えぇ、ありがとうね……まだちょっと歩くのは大変だけど、大丈夫よ。村の人達も驚いてるわ」


「それはそうですよね……えっと、村の人にはなんて……」


「えぇ、それは彼が……」


「え?」


「あぁ、お前が治したって言うと色々面倒だからな、俺が治療薬を持ってたことにした」


「そうなんですね……でも、それだと旅人様は色々言われたんじゃ?」


「いや、帯刀してる人間においそれと連中も声をかけれないみたいだからな……問題はない」


「なるほど?」


「ふふ、アンナちゃん、本当にありがとう……死ぬ未来しかなかった私にこうしてまた生きる道をくれて」


「いえ、私が、私がただ、気にしちゃっただけなので……」


「ふふ、どんな理由でも助けられたのは事実、本当にありがとうね」


「はいっ///」


「じゃあ、俺たちはこれで」


「はい、お気をつけてくださいね」


「姉ちゃん、兄ちゃん、また来てくれよなっ!」


「うん、いつか、いつかまた来るよ」


 私達は2人に見送られながら迷いの森へと入るのでした……


 ◇


 さて、森に入ってから数時間……私は、まぁ、予想通り、力尽き旅人様に背負われて移動をしています……というか、旅人様が強すぎて、お荷物を背負ったままなのに無双してます……改めて私は運がいいのでしょう……こんな強い人を無料で護衛にしてるなんて……やっぱりなにかお返しをしなければなりません……なにがいいでしょう……でも、やっぱりこういう時は私をプレゼント……/// キャーキャーキャー! いけないいけない……妄想したら鼻血が出るかと……危ないです、鼻血なんて出したのを見られたら乙女は死にます……


「ずいぶん元気そうだな、そろそろ歩くか?」


「はっ、ご、ごめんなさい……でも、もうちょっと……お願いします……」


「まぁ、いいが……魔物が出たら降りろよ」


「はい///」


 旅人様に背負われながら歩くこといくばくか……どんどん森の中を進み、すっかりあたりは日の光が木々にさえぎられ届きずらくなり、暗くなっていきます……その中を彼は迷うことなくどんどん進んでいく……私を背負ってるのに軽々と進んでいきます。


「ん……」


「どうしましたか?」


 先ほどまで順調に進んでいた旅人様が急に足を止めました……そしてなにやらあたりを気にしています……


「アンナ、呪は発動してないな?」


「えっと、はい……呪は、えっと、発動してないです?」


「そうか……」


「えっと、魔物がいるんですか?」


「あぁ……まず間違いないと思う」


「え、ど、どこでしょう?」


 あたりを見渡しても、魔物らしい姿はどこにも見えません……暗いから気づけないだけ?もっと遠くにいるのかな?やっぱり私には全然わからない……


「えっと、全然見当たりませんけど……」


「いや、いるな……降ろすぞ」


「え?は、はいっ」


 旅人様の背かろ降り、彼の後ろに隠れます……旅人様は何時も持ってる黒い剣を抜くとジッと一か所を睨みつけるように見ています……彼の視線を追ってもやっぱり何もいない?


「………」


「……っ……」


「来るぞっ」


「え?」


 視線を向けると、それがようやく見えました……でも、見えた時には、もうすぐ傍まで来ていた……


「なに、これ……」


「グォオオオオオオオオオオオ!!」


 大きな魔物が振るった腕?を旅人様が剣で防ぎました……それで、動きが止まったことでようやくその姿がはっきりと見ることが出来ました……大体5~6Mぐらい?ある巨体、迷彩模様のような保護色をした緑色の体毛をした……それは熊?と思える魔物です……でっかい爪で私達を切り裂こうとしてきたのがわかりました……


「く、熊っ……」


「…っ……フォレストベアだな……森で隠れることを得意とする魔物だ……」


「そんな。全然気づかなかった……」


「まぁ、そういう魔物だからな……少し離れてろ……いいか、前に出るなよ。食われるぞ」


「わ、わかりました」


「きゅぅうう」


 私は肩に乗っていたカペラを手に抱きしめ、旅人様から少し離れます……離れたことで、その巨体がしっかりと見えるよになりました……


「おっきぃ……か、勝てるよね?」


「きゅう……」


 旅人様が大きく剣で弾いて、熊と距離をとります……私からすればいままで見てきたどの魔物よりも恐ろしい存在……本能が、あれには勝てない、直ぐ逃げろって訴えかけてくる……けれど、あの巨体、あの凶悪な魔物を見ると足がすくんで動くことができない……そしてなにより、旅人様を置いて逃げるなんてできない……


「グゥウウウ」


 先に動いたのは熊でした……あの巨体からは信じられない速度で動いて旅人様を殴り飛ばそうとしてくる……でも、彼はそれをなんてことも無いように防ぎ……


「はえ?」


 一瞬、剣が光った?ように見えたと思ったら、熊がふらついて……


「死ね」


 振り上げられた剣が、熊の首に吸い込まれるように振り下ろされ……熊の魔物は、首が落ち、血を吹き出し、体も倒れ………


「え?え?な、なにが起こったの??」


 なにかわからないけど、とっても怖いはずの魔物はなにも出来ずに死んでしまったのでした……



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