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第13話 「反帝国組織MM」はつまり

 これは気付いたのが、書いてから25年経った最近だという!


 元々この話は、当時好きだったバンドと、その周辺で仲のいいバンドのメンツを使った「アイドル映画」的な感覚で作っていたんですな。

 と言っても「当て書き」というか、色々モデルに関して音楽雑誌のインタビュー各種から「この人はこうだな」という造形がございまして、それと交友関係とか色々と絡めていったというか何というか……

 あと当時は、「日刊小説」をやっていたので、細かいところを詰めるより、ともかく毎日毎日書くこと、そして感情の流れを中心とすることが大切だったんですね。

 だから今では絶対できない書き方なんですな。

 ワタシ個人として今読んでも感情の流れは好きなんですが、世界の雑なこた認めまする。

 要は銀英伝世界みたいなものでして、遠未来の場合、文化がそこでまた停滞その他するよね! というご都合なんですな。

 なのでSFでも「スペース・ファンタジー」というガワをかぶってるという感じで。

 タイムリープではなくタイムトラベル、世界線が一本であるのが、過去に書いた話だなあ、と思う次第ですよ。

 G君はこの一本な世界を移動できるという異物な訳です。

 そんでレプリカントもサイボーグも天使種も、他の生物と違って「そう簡単に死ぬこともできない」という属性。

 まあ仕方ないですな。これは書いた時の作者の病み具合が反映してるのですから。


 そんでまあ、25年くらい経って読んでみるとあら不思議。

 この話って「G君とキム君の友情」に尽きるじゃあないですか。


 「周囲とずれている自分」というのはワタシの話にともかくこれでもかとばかりに出てくる無意識テーマでございますが、ここではG君もキム君もそーなんですね。

 無論M様も中佐も、鷹やレプリカントの首領も皆そうです。

 で、それぞれがそれぞれの関わりをもつんですが、「対等な友人」なのは、G君とキム君だけなんですな。

 中佐はキム君の「愛人」だし、M様は「保護者」。

 鷹はG君の「元恋人」。M様は「崇拝する対象」→「敵」。

 そしてM様にとっては、G君は「予定された自分の敵」。

 だからそんな役割と関わらないで友情を持てるのはG君とキム君だけだったなあ、という。 

 そんな2人がともかく誰かの意思によって動かされていることを良しとするか気にするか、の違いはあるんですが。

 ただG君は最終的に「自分を待つ人々」がいることを知って、MMを裏切って自分の組織に「戻る」訳ですな。

 このMMに敵対するSeraphという組織は第一話から出てきてはいたんですが、この時点では「得体の知れない宿敵」ですね。書いた時点では何も考えてませんでした(笑)。

 ただ書くうちに、G君とM様の関係性、「死ねない人生を生きていくため、帝国を存続させるための反帝国組織の宿敵」というのに「気付き(笑)」まして、ああいう流れになったという。

 さてそうなると、M様と離れられないキム君としては、G君とは決着をつけざるを得ないんですな。

 だけどどっちもどっちを倒したくない。ここが友情の哀しいとこ

で。追い詰めた結果、能力が発動した訳ですが、残念ながら「そこ」に引きずり込んでしまったら、2人生き残れるという保証はない。

 そこで手を放してしまったのが――ですね。

 そんで、トミノ氏曰くの「取り返しのつかないこと」をしてしまったG君は「大人」になって、党首となって「M様の敵」として、生きていくこととなると。

 M様自体は、それこそ過去の過去、彼自身は親友を亡くしている、というエピがあるのですが、これが彼の「取り返しのつかないこと」。だから彼は帝国とMM両方を背負って生きていく訳ですね。

 そんで中佐は今後復讐の鬼になると同時に、次元の狭間に落ちたキム君を探して生きていかざるを得ない、という。


 さてこのキム君は、「この世界はラボレタリィ」では次元の管理人として出てきます。まあ、名前は出てきませんがね。

 この話もですが、いやもう、「生きていかなくちゃならないんだなあ」という気分が延々このMM世界には蔓延してますね。

 仕方ないですわ、それが当時のワタシの病み具合であり――もう今では書くことのできない感情ですから。


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